中国の通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)が、スマートフォンやテレビなどに搭載されるディスプレーパネルを駆動するための半導体の開発に着手したことが明らかになった。コンシューマー製品部門のCEO(最高経営責任)を務める余承東氏が7月28日付の文書で開発チームの組成を指示。それを財新記者がファーウェイ社内の関係者から確認した。
財新記者の問い合わせにファーウェイは回答しなかったが、調査会社の芯謀研究のチーフアナリストを務める顧文軍氏によれば、ファーウェイはパネル駆動チップの開発を通じて自社ブランドのコンシューマー製品の競争力強化をもくろんでいる可能性が高いという。
ファーウェイのコンシューマー製品と言えばスマートフォンのイメージが強いが、そのほかにもノートパソコン、タブレット、スマートウォッチ、スマートテレビなど、ディスプレーパネルを搭載したさまざまな製品を展開している。なかでも2019年に参入したスマートテレビは、2020年末までに出荷1000万台、2022年に中国市場でのシェア20%という高い目標を掲げている。
アメリカ政府の制裁措置の影響は未知数
だがファーウェイはパネルの生産を手がけておらず、韓国や中国のパネルメーカーからの調達に頼らざるをえない。そうしたなかでコンシューマー製品の機能の差別化を図りやすくするため、パネルとセットで使われる駆動チップを自社開発する道を選択したと、顧氏は分析する。
中国はパネルの生産量ではすでに韓国を抜いて世界一であり、京東方科技集団(BOE)、維信諾(ビジョノックス)、TCL華星光電技術など高品質のパネルを製造できる国産メーカーが複数育っている。ところがパネル駆動チップに関しては、今も大部分を海外メーカーからの輸入に頼っているのが実態だ。
アメリカ政府が5月に発動した制裁措置の影響で、ファーウェイは最先端のプロセス技術を使った半導体の開発を封じられた。しかしパネル駆動チップは28~40ナノメートルのプロセス技術で製造でき、中芯国際集成電路製造(SMIC)など中国の半導体受託製造企業でも技術的に対応できる。とはいえファーウェイがチップ製造の委託先を支障なく見つけられるかどうかは未知数であり、今後の推移を見守る必要がある。
(訳注:アメリカ政府は8月17日、ファーウェイの半導体調達をより厳しく制限する追加制裁を発表した)
(財新記者:屈慧)
※原文の配信は8月12日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら