中国を舞台に、電気自動車(EV)ビジネスをめぐる異業種間の合従連衡が加速している。台湾の鴻海精密工業(ホンハイ)の主力子会社である富士康科技集団(フォックスコン)は1月13日、中国の中堅自動車メーカー、吉利汽車(ジーリー)の親会社である吉利控股集団との戦略提携に調印したと発表した。
両社は対等出資で合弁会社を設立し、EVの受託製造サービスに参入する。完成車や部品の受託生産はもちろん、車載ソフトウェアの受託開発やコンサルティングまでフルラインのサービスを提供するもくろみだ。
フォックスコンは電子機器の受託製造サービス(EMS)の大手で、アップルのスマートフォン「iPhone」の生産を担っていることで知られる。ロイター通信は2020年12月、アップルが2024年に乗用車の製造開始を目指していると報道した。このため、フォックスコンと吉利の合弁会社が「アップルカー」の生産を受託するのではないかとの臆測も呼んでいる。
ネット企業や新興EVメーカーとも提携
フォックスコンと吉利控股集団の共同声明によれば、両社の合弁会社では5人の取締役のうち3人をフォックスコンが派遣し、取締役会議長の任命権もフォックスコンが持つ。吉利控股集団の李東輝CEO(最高経営責任者)は声明のなかで、「自動車メーカーは変化を主体的に受け入れ、幅広い連携を追求し、相乗効果を高めなければならない」とコメントした。
なお、吉利控股集団は1月11日にも、中国のインターネット検索最大手の百度(バイドゥ)とEV製造の合弁会社を設立すると発表したばかりだ。同社の説明によれば、フォックスコンおよびバイドゥとの提携はそれぞれ別個のプロジェクトだという。
一方、その前週の1月4日には、中国の新興EVメーカーの拜騰汽車(バイトン)がフォックスコンとの戦略提携を発表した。バイトンに近い関係者によれば、フォックスコンは2億ドル(約208億円)の資金を投じて、バイトンが開発したSUV「M-Byte」の2022年3月末までの量産開始を目指している。
(財新記者:鄭麗純)
※原文の配信は1月13日
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