アメリカの電気自動車(EV)大手のテスラは1月1日、中国・上海市のギガファクトリーで現地生産を始めたクロスオーバーSUV「モデルY」を中国市場で発売し、その価格を明らかにした。
中国政府の補助金を利用後の実質負担ベースの価格は、2種類のグレードのうち「ロングレンジ」が33万9900元(約536万円)から、「パフォーマンス」が同36万9900元(約584万円)からだ。テスラが2020年8月に発表した予定価格は前者が48万8000元(約770万円)、後者が53万5000元(約844万円)だったことを考えると、衝撃的な大幅値下げである。
モデルYはすでに上海工場で生産している「モデル3」と同じプラットフォーム(車台)を採用し、本国アメリカでは2020年3月からデリバリーを開始している。これまではカリフォルニア州のフリーモント工場で製造しており、上海工場は世界で2番目のモデルYの生産拠点となった。
なお、2020年1月から中国市場に投入された中国製モデル3は、その後の1年間に複数回の値下げが行われた。廉価グレードの「スタンダードレンジプラス」の最新価格は、実質負担ベースで24万9900元(約394万円)からだ。テスラによれば、中国の車載用電池最大手である寧德時代新能源科技(CATL)製のリン酸鉄系リチウムイオン電池を採用してコストダウンを実現した。
部品の約7割が「モデル3」と共通
自動車販売の業界団体のデータによれば、中国製モデル3の2020年1月から11月までの販売台数は11万4000台と、価格水準が近い競合他社のEVを大きくしのぐ売れ行きを見せた。中国製モデルYの追加投入により、テスラは中国の新エネルギー車(訳注:EV、燃料電池車[FCV]、プラグインハイブリッド車[PHV]の総称)市場でシェアをさらに拡大しそうだ。
中国市場でモデルYのライバルとなるSUVは、ガソリン車ではドイツのBMWの「X3」やメルセデス・ベンツの「GLC」、EVでは中国の蔚来汽車(NIO)の「ES6」などだ。それらの価格はX3が38万9800元(約615万円)、GLCが39万7800元(約628万円)、ES6が35万8000元(約565万円)からと、いずれもモデルYより高い。
少なくとも価格面では、モデルYの優位は明らかだ。しかも、プラットフォームを共用するモデルYとモデル3は部品の約7割が共通だ。証券会社の調査レポートによれば、テスラはモデルYの価格をモデル3と同様に引き下げていく可能性が高いという。
(財新記者:劉雨錕)
※原文の配信は1月1日
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