テスラ、中国市場で主力EV「モデル3」を値下げ

現地生産車の電池に安価な「リン酸鉄系」採用

テスラは「モデル3」の値下げ攻勢で中国市場でのブランド確立に成功した(写真はテスラの中国向けウェブサイトより)

アメリカの電気自動車(EV)大手のテスラは10月1日、中国で現地生産している主力EV「モデル3」の販売価格を引き下げた。廉価グレードの「スタンダードレンジプラス」の新価格は、政府の補助金を利用した後の実質負担ベースで24万9900元(約388万円)。テスラの公式ウェブサイトによれば、契約から納車までの期間は2~4週間となっている。

テスラは2019年5月、当時上海に建設中だった「ギガファクトリー」で生産するモデル3の価格を廉価グレードで32万8000元(約509万円)にすると発表(訳注:実際の納車開始は2019年12月末から)。その後、数回にわたって値下げを実施してきた。今回は上級グレードの「ロングレンジ」の価格も、補助金利用後の実質負担ベースで33万9000元(約526万円)から30万9900元(約481万円)に引き下げた。

積極的な値下げ攻勢により、テスラは現地生産開始から1年も経たずに中国の新エネルギー車(訳注:EV、燃料電池車〈FCV〉、プラグインハイブリッド車〈PHV〉の総称)市場で確たる地位を築いた。自動車販売の業界団体のデータによれば、2020年8月のテスラ車の販売台数は1万1500台に達し、EVのメーカー別販売ランキングで首位に立った。

ブランド確立からシェア拡大に重点

テスラの中国戦略はすでにブランド確立の段階を過ぎ、コスト削減を通じた市場シェア拡大のフェーズに移っている。同社のイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)はアメリカ・カリフォルニア州で9月22日に開催した株主総会で、上海ギガファクトリーの生産能力を当初の設計の2倍にあたる100万台に引き上げるとぶちあげた。

なお、(自動車の形式認証を所管する)中国工業情報化省が6月11日に公表した新エネルギー車の最新版の目録によれば、今回値下げしたモデル3のスタンダードレンジは動力源に「リン酸鉄系」のリチウムイオン電池を採用している。リン酸鉄系は正極材に高価なコバルトを使わないため、テスラがこれまで採用していた「三元系」電池よりコストが低い。このリン酸鉄系電池のサプライヤーは、中国の車載電池最大手の寧德時代新能源科技(CATL)だ。

本記事は「財新」の提供記事です

たび重なる値下げを経て、モデル3は以前ならテスラ車の購入を考えなかった中国の顧客層をもひきつけている。おかげで厳しいプレッシャーにされされているのが、主に30万元(約465万円)以下の価格帯で勝負してきた中国勢だ。例えば新興EVメーカーの小鵬汽車の「P7」や、老舗EVメーカーのBYDの「漢」などは、モデル3との競合が避けられないだろう。

(財新記者:鄭麗純)
※原文の配信は10月1日

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