車載用リチウムイオン電池の製造に欠かせない原材料であるリチウムやコバルトの価格が高騰している。世界最大の自動車市場である中国で、電気自動車(EV)の販売が急増しているのが背景だ。
非鉄金属の情報サービス会社である上海有色網のデータによれば、1月11日時点の電池用炭酸リチウムの平均価格は1トン当たり5万9000元(約94万6950円)と、過去1年間の最安値だった2020年8月の同3万9750元(約63万7990円)から50%近くも値上がりした。
また、同じ日の電解コバルトの相場は1トン当たり28万8000元(約462万円)と、過去1年間の最安値だった2020年5月の同23万2500元(約373万円)から約24%上昇している。
上海有色網のアナリストの梅王沁氏によれば、リチウムやコバルトの価格高騰は(電池を大量に搭載する)EVの販売増加という「実需」が牽引している。中国では2020年8月以降、EVの売れ行きが急速に伸びており、同年11月の販売台数は前年同月の1.7倍を記録した。
3~4年のスパンで需給逼迫が長期化
一方、供給側には制約がある。中国最大のリチウム産地である青海省では、悪天候や電力事情などの影響で採掘量が減少。2020年10~12月期の中国国内の炭酸リチウム生産量は同年7~9月期より10%減った。
そんななか、電池メーカーや材料メーカーが大幅な増産計画を進め、原材料を十分に調達するための引き合いが活発になっている。さらに、2021年2月の春節(中国の旧正月)の長期休暇を控え、その前に備蓄を確保しようとする動きが2020年末から2021年初にかけて集中。それが価格の高騰に拍車をかけた。
非鉄金属業界の専門家によれば、2021年のリチウム市場は需給の逼迫が続き、状況次第では供給が需要に追いつかなくなる可能性がある。
2022年には南アメリカのリチウム鉱山の増産などで需給はいったん均衡するとみられるが、今後3~4年のスパンでは需要増加のスピードが供給増加を上回り、再び需給逼迫に直面する可能性が高いという。
(財新記者:羅国平、廬羽桐)
※原文の配信は1月11日
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