アメリカ商務省は12月18日、アメリカの安全保障や外交政策上の利益に反すると判断した企業等を列挙した「エンティティー・リスト」に、中国の半導体大手の中芯国際集成電路製造(SMIC)を追加すると発表した。この措置について商務省は、「SMICと中国の軍産複合体の関係を示す証拠」に基づくとしている。
「中国が自国の軍事活動を支援する目的でSMICを通じてアメリカの技術を利用するのを防ぐため、エンティティー・リストへの指定は必要な手段だ」。商務省が発表した声明文のなかで、ウィルバー・ロス商務長官はそう強調した。
エンティティー・リストに指定された外国企業に対して、アメリカの輸出管理規則が定める製品や技術を譲渡する場合、輸出企業は商務省に申請して許可を得る必要がある。しかし、申請に対しては原則不許可がポリシーであり、事実上の禁輸措置となっている。
なお、商務省は今回の声明文のなかに「線幅10nm(ナノメートル)以下の最先端の半導体を製造するために必要な設備や技術は原則として許可しない」と明記した。
バイデン政権でも制裁緩和は困難
SMICに対するアメリカ政府の締め付けは、これが初めてではない。今年9月下旬、商務省産業安全保障局はSMICと取引しているアメリカのサプライヤーに書簡を送り、一部の設備、部品、材料を輸出する際には事前に許可を申請するよう命じた。
半導体メーカーにとって、アメリカ製の設備や材料は生命線と呼んでも過言ではない。「すでに成熟した28nm以上のプロセス技術であれ、先端的の14nm以下であれ、アメリカ製の設備が数多く使われている。(アメリカ政府の制裁は)今後の生産規模拡張に影響するかもしれない」。SMICの共同CEO(最高経営責任者)を務める趙海軍氏は、11月12日に開いた2020年7~9月期の決算説明会でそう懸念を表明していた。
アメリカでは2021年1月20日にジョー・バイデン氏が新大統領に就任する。では、新政権がエンティティー・リストを見直す可能性はあるのだろうか。アメリカの輸出管理に詳しい専門家は次のように予想する。
「バイデン政権がトランプ政権のような極端な制裁手段をとることは少ないだろう。だが、すでにエンティティー・リスト上にある企業の指定を解除するのは容易なことではない」
(財新記者:何書静、駐アメリカ記者:杜知航)
※原文の配信は12月19日
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