中国の国有半導体大手の紫光集団は12月10日、同社の社債「18紫光04」の今年度の利息を期日どおりに支払えないと発表した。2018年12月7日に発行されたこの社債は、発行規模が50億元(約797億円)と紫光集団の償還期限前の社債のなかで最大だ。償還期限は5年、表面利率は5.20%となっている。
同じ日、紫光集団は傘下の紫光国際が海外で発行した額面4億5000万ドル(約470億円)、表面利率6.0%の社債がデフォルトしたことも明らかにした。これにより、同じく傘下の紫光芯盛が発行した総額20億ドル(約2087億円)の3本の社債もクロスデフォルト条項(訳注:債務者の1つの債務がデフォルトした場合、その他の債務もデフォルトしたとみなす取り決め)に抵触する事態になっている。
これらは紫光集団にとって初めてのデフォルトではない。11月16日、同社の社債「17紫光PPN005」の償還期限を延長する案が債権者に否決され、元本13億元(約207億円)および金利の債務不履行が成立した。
さらに今回、国内外で複数の社債デフォルトが重なったことで、紫光集団の経営は崖っ縁に追い込まれている。市場関係者の多くは、同社は破産手続きを通じたグループ再編に向かうと予想する。
理工系最高学府の清華大学が母体
紫光集団は理工系の最高学府として名高い清華大学を母体とするハイテク企業グループで、純粋な持ち株会社の形態をとる。傘下にはITサービスなどを手がける紫光股份(ユニスプレンダー)、半導体設計大手の紫光国芯微電子(ユニグループ・グオシン・マイクロエレクトロニクス)、同じく半導体設計大手の紫光展鋭(UNISOC)、フラッシュメモリー大手の長江存儲科技(YMTC)などが名を連ねる。
同社の債務危機には主に2つの要因がある。積極的なM&A(合併買収)の後遺症と、債券発行に過度に依存した資金調達だ。
半導体産業は資金の初期投資から回収までの期間が長く、一定の実績がある企業を買収する場合には高いプレミアムを上乗せしなければならない。その結果、紫光集団のバランスシートには2019年末時点で539億元(約8593億円)もの「のれん代」が積み上がった。
また、M&Aの資金調達を債券に依存しすぎたため、債務償還と金利支払いの資金繰りが悪化。紫光集団は2019年1~3月期に2本の社債を発行した後、新たな起債が困難になった。同社の開示資料によれば、2020年6月末時点の負債総額は2029億3800万元(約3兆2352億円)に上る。
そんななか、紫光集団は外部の投資家を呼び込むことで債務危機を乗り切ろうと試みた。2018年8月以降、戦略投資家として国有資本の出資を受ける意向を繰り返し表明してきたが、結局実現していない。
(財新記者:呉紅毓然)
※原文の配信は12月11日
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