中国の穀物輸入が急拡大している。中国海関総署(税関)が12月7日に発表したデータによれば、中国が2020年1~11月に輸入した穀物は累計1億2920万2000トンに上り、前年同期比29.6%の大幅増を記録した。
背景には中国国内と海外の穀物価格の逆転がある。中国政府の所管部門の調査によれば、国内産の穀物価格は外国産に比べて小麦が1トン当たり333元(約5301円)、コメが同16元(約255円)、トウモロコシが同609元(約9695円)高く、外国産の価格優位は明らかだ。
穀物貿易を手がける複数の卸売業者は、この内外価格差が需要家たちを外国産の「買いあさり」に走らせていると話す。中国の養豚業の回復により飼料原料向けの需要が増加していることが、そこに拍車をかけている(訳注:中国では2018年8月から家畜伝染病のアフリカ豚コレラが流行し、養豚業界が大打撃を受けた。感染は2019年にかけて徐々に落ち着き、今年は豚の飼養頭数が急回復している)。
トウモロコシ輸入量が低関税枠を突破
中国政府は国内の穀物農家を保護するため、小麦、トウモロコシ、コメの輸入に割当制を採用している。そのうちトウモロコシの2020年の輸入枠は720万トン。この枠内なら輸入トウモロコシの輸入関税は1%にすぎないが、枠を超えた場合は最低65%の高関税が課される。
そんななか今年10月、トウモロコシの輸入が初めてこの割当量を突破した。海関総署のデータによれば、2020年1~10月のトウモロコシの累計輸入量は728万トンと、前年同期比97.3%増加。なかでも10月は単月で1年前の12倍の114万トンが輸入された。
外国産トウモロコシの主用途は養豚用の飼料の原料だ。中国最大の飼料メーカーである新希望六和の担当者は、同社の飼料原料のなかでトウモロコシは約半分を占めており、2020年の年間消費量は約800万トンを見込んでいると説明する。
この担当者によれば、新希望六和は海外の穀物価格が低迷していた今年4月から9月にかけて年間消費量の3割相当の大量買い付けを行った。同社は中国国内の穀物価格が引き続き上昇し、輸入拡大のトレンドは持続すると予想している。
(財新記者:黄姝倫)
※原文の配信は12月8日
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