中国では近年、箱を開けるまで何が入っているかわからない「盲盒(ブラインドボックス)」と呼ばれる若者向けの玩具が人気を集めている。そのリーディング企業である泡泡瑪特文化創意(ポップマート)が12月11日、香港証券取引所に上場を果たした。
同社はIPO(新規株式公開)の売り出し価格を1株当たり38.5香港ドル(約518円)に設定。株式公開初日の取引はその2倍の77.1香港ドル(約1038円)で寄り付き、一時81.75香港ドル(約1100円)まで上昇した。その後は値を下げたが、終値は売り出し価格より79.2%高い69香港ドル(約929円)で引けた。
その結果、終値ベースの時価総額は約952億2000万香港ドル(約1兆2817億円)に達した。また、2019年の純利益から計算した株価収益率(PER)は約180倍となり、コンシューマーグッズ関連の企業では香港市場のIPO時点の最高記録を更新。投資家の高い関心を反映した格好となった。
2010年に創業したポップマートは、ブラインドボックスを中心とする「潮流玩具(デザイナーズトイ)」の草分けだ。社外のアーティストにシリーズ玩具のキャラクター・デザインを委託し、それを同社が製品化したうえで直営店を通じて販売している。
看板商品は「Molly」シリーズ
ポップマートの強みは、独自の知的財産権(IP)を保有する玩具キャラクターを次々に生み出す力にある。
同社は2020年6月末時点で93のキャラクターを取り扱うが、そのうち12のIPを自社所有しており、25のIPは独占使用権を獲得している。なかでも香港のアーティストのケニー・ウォン氏がデザインした「Molly(モリー)」シリーズは、総売上高の3割超を稼ぐ看板商品に成長した。
ブライドボックスの流行とポップマートの成功を受けて、最近は玩具業界以外からの新規参入が盛んになりつつある。例えば生活雑貨チェーン大手の名創優品(メイソウ)は、低価格のデザイナーズトイ専門店「TOPTOY(トップトイ)」をチェーン展開する計画だ。スターバックスやイケアなど外資系の異業種も、店舗でブラインドボックスの販売を始めている。
だが、ポップマート創業者でCEO(経営最高責任者)を務める王寧氏によれば、新規参入組が成功を収めるのは容易ではない。玩具業界では多くの企業がブラインドボックスを手がけているが、ポップマートのライバルと呼べる規模に育ったケースはないからだ。
「最大の違いはやはり独自のIPだ。われわれは長年かけてトップクラスのデザイナーと関係を築き、一緒にキャラクターを育ててきた。資金力があればまねできるものではない」。王氏はそう自信を見せる。
(財新記者:沈欣悦)
※原文の配信は12月11日
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