中国の電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD)は12月1日、中国証券監督管理委員会に対してH株(訳注:登記地が中国本土の企業が香港証券取引所に上場する株式)の追加発行を申請したと発表した。追加発行する株数は2020年6月23日時点で発行済みのH株の20%以内としている。
具体的な追加発行株数や売り出し価格はまだ明らかにしていないが、過去の開示データに基づいて計算すると、追加発行株数は最大1億8300万株となる。そこに12月1日のBYD株の終値である187.6香港ドル(約2525円)をかけ合わせると、追加発行による資金調達額は最大で340億香港ドル(約4576億円)を超える可能性がある。
BYDの発表によれば、H株の追加発行は証券監督管理委員会の認可を取得した後、市場の状況に応じて1回または複数回に分けて実施する。調達した資金は運転資金の補充、債務返済、研究開発およびその他の一般用途に充てる計画だ。
主力のEV事業が黒字に転換
10月29日にBYDが発表した2020年7~9月期決算では、売上高が前年同期比4割増加し、純利益は同14.6倍に急増するなど業績が大幅に改善した。背景には、新型コロナウイルスの流行下で新規参入したマスク事業が大きな利益を上げたことや、主力のEV事業の損益が黒字に転換したことなどがある。
同社は2020年の通年の純利益が前年比2.6倍の42億元(約667億円)から同2.84倍の46億元(約730億円)の間になると予想している。好調な業績をテコにして大型増資を行うことで、将来に向けた投資資金を確保するもくろみだ。
中国の新エネルギー車(訳注:EV、燃料電池車[FCV]、プラグインハイブリッド車[PHV]の総称)の販売は今年後半から顕著に増加しており、BYDの追い風になっている。中国国内の2020年1~10月の新エネルギー車販売台数は83万2000台と、前年同期比の落ち込みが9%まで縮小。通年では昨年並みの販売台数を回復する可能性がある。
「2020年は中国のEVメーカーにとって転換点になる。これまでの主たるテーマは化石燃料から電気への転換だったが、今後はスマート化が焦点になる」。BYD董事長(会長に相当)の王伝福氏は、11月13日に開催された中国のベンチャーキャピタル関連のフォーラムでそう述べた。
(財新記者:鄭麗純)
※原文の配信は12月2日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら