中国の2大ショート動画アプリの1つ「快手(クワイショウ)」を運営する快手科技は、11月6日、香港証券取引所に新規公開株式(IPO)の目論見書を提出した。手続きが順調に進めば、快手はライバルの「抖音(ドゥイン)」に先駆けてショート動画アプリの上場第1号の称号を手にしそうだ(訳注:抖音はTikTok[ティックトック]の中国国内版で、運営会社は字節跳動科技[バイトダンス])。
今回の目論見書では、株式の売り出し価格や資金調達の規模はまだ明らかにしていない。財新記者が関係者から得た情報によれば、快手の企業価値は400億~500億ドル(約4兆1338億~5兆1672億円)と見積もられ、IPOでの資金調達規模は約50億ドル(約5167億円)を計画している。
快手には、中国IT業界の3大企業であるBAT(百度[バイドゥ]、阿里巴巴[アリババ]、騰訊[テンセント])のうち2社が出資している。2017年3月にテンセントをリード投資家とするグループが3億5000万ドル(約362億円)を投資。その前にはバイドゥを中心とするグループが投資したが、金額は公表されていない。
なお、株式公開前の時点では2人の創業者のうち董事長兼CEO(最高経営責任者)の宿華氏が発行済み株式の12.65%、執行董事兼最高製品責任者の程一笑氏が同10.02%をそれぞれ保有している。社外株主の保有比率はテンセントの21.57%が最大だ。
売上高は2年で4.7倍、損益は不安定
快手は目論見書のなかで市場調査会社の艾瑞諮詢(アイリサーチ)のデータを引用し、自らが2020年上半期の1日当たり平均アクティブユーザー数で世界2位のショート動画アプリであるとした。その数は3億200万人に上るが、ライバルの抖音の6億人超には水をあけられている。
直近3年間の財務データを見ると、快手の売上高は2017年の83億4000万元(約1303億円)から2019年には約4.7倍の391億2000万元(約6114億円)に拡大した。また、2020年1~6月期の売上高は前年同期比48.27%増の253億2100万元(約3957億円)と急成長が続いている。
一方、損益の状况は安定していない。2019年は通期で13億4600万元(約210億円)の純利益を計上したが、2020年1~6月期は一転して63億4800万元(約992億円)の赤字に転落した。
販促費と広告宣伝費の支出が前年同期の約4.6倍の132億8500万元(約2076億円)に急増したのが主因であり、同じ項目の2019年通年の支出額を上回っている。
(財新記者:関聡)
※原文の配信は11月6日
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