11月10日、永城煤電控股集団(永煤集団)が発行した超短期社債「20永煤SCP003」(償還期間270日)が償還期限を迎えたものの支払い不能に陥り、額面の10億元(約159億円)がデフォルトした。これを受け、中国の債券市場にはデフォルト増加への不安が広がっている。
永煤集団は河南省最大の国有企業である河南能源化工集団(河南能源)の傘下の石炭大手で、株式の96%を河南能源が保有している。河南能源は河南省国有資産監督管理委員会の直轄下にあり、グループ従業員数は18万人に上る。
債権市場の関係者にとって、永煤集団のデフォルトは寝耳に水だった。というのも、中国の格付け最大手でアメリカのムーディーズが出資している中誠信国際信用評級(中誠信国際)が、発行体としての永煤集団に最高ランクの「AAA」の格付けを10月10日に付与したばかりだったからだ。
「河南省には鄭州銀行、中原銀行、中原証券などの地元金融機関やノンバンクがあり、通常なら10億元程度の資金を融通するのは難しくないはずだ。起きてはならないことが起きたと感じている」。債券市場のある関係者はそうコメントした。
親会社の総資産負債比率83%
デフォルトから一夜明けた11月11日、中誠信国際は永煤集団の発行体格付を投資不適格の「BB」に引き下げ、さらなる格下げを行う可能性があるウォッチリストに指定した。
永煤集団はデフォルト発生の20日前にも、額面10億元(約159億円)の中期社債を発行していた。同社の償還期限前の社債は11月10日時点で合計23本、その総額は234億1000万元(約3722億円)に上る。しかも、そのうち120億元(約1908億円)が半年以内に償還期限を迎える予定だ。
今回のデフォルトは、永煤集団の親会社である河南能源の資金調達にも支障を来す可能性が高い。財新記者が入手した河南省国有資産監督管理委員会の報告書によれば、新型コロナの影響と石炭産業全体の景気低迷による赤字が累積し、河南能源の資金繰りは悪化の一途をたどっている。
河南能源は2020年8月末時点の資産総額2845億元(約4兆5235億円)に対し、負債総額が2369億元(約3兆7667億円)に上り、総資産負債比率は83%に達している。同社で債務危機が発生すれば、連鎖反応を誘発して(河南省での)地域的な金融危機を引き起こしかねない。
(財新記者:梁虹)
※原文の配信は11月11日
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