中国のエネルギー政策を所管する国家能源局は7月23日、設備過剰が深刻な石炭火力発電設備の2020年の廃止目標を通達した。低効率な旧式の石炭火力発電設備733万3500キロワット相当を廃止する。今年の目標値は前年に比べて15.4%減少した。
廃止対象となる設備は河北省、江蘇省、遼寧省、吉林省、河南省、浙江省、山東省、広東省、重慶市、新疆ウイグル自治区など17の省・直轄市・自治区にまたがる。そのうち河南省の目標値が最も大きく、206万キロワット相当を廃止しなければならない。浙江省の83万1000キロワット相当がそれに続く。
国家能源局は、「各地の発電会社は旧式設備の廃止に主体的責任を持ち、各省が制定した計画に従って実行しなければならない」と強調。また同時に、廃止設備の従業員に対する雇用対策を地方政府が指導監督し、経済的補償や社会福祉などの課題に適切に対応するよう指示した。
コロナ経済対策で新設プロジェクト増加
石炭火力の設備過剰を緩和するため、国家能源局は旧式設備の廃止と同時に新たな設置も厳しく制限してきた。2016年には石炭火力の設備容量に上限を設定し、2020年までに全国の総設備容量を11億キロワット相当以下に抑える目標を掲げた。
だが最近、石炭火力業界に注目すべき変化が起きている。発電会社が旧式設備を廃止する一方、設備の新設にも積極的に取り組むケースが増えているのだ。財新記者が各地の統計データを整理したところ、今年1~3月期に合計1000万キロワット相当の新設プロジェクトが地方政府の認可を得たことがわかった。これは2019年の1年分に相当する規模だ。
財新の取材に応じた複数の業界関係者によれば、その背景には新型コロナウイルスの影響による景気後退への対応がある。投資拡大を通じて内需を刺激するのが狙いで、やはり設備過剰が深刻な超高圧送電や石炭化学工業などの分野でも新設プロジェクトが目白押しだという。
(財新記者:陳雪婉)
※原文の配信は7月24日
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