中国とアメリカの外交関係が悪化するなかでも、中国のベンチャー企業がアメリカでの上場を目指す動きに衰えは見えない。
不動産取引のオンライン・プラットフォームを運営する貝殻找房(ベイクジャオファン)は7月24日、アメリカ証券取引委員会(SEC)に新規株式公開の目論見書を提出した。同社はニューヨーク証券取引所に上場し、10億ドル(約1062億円)を調達する計画だ。
目論見書によれば、上場で調達する資金は約30%をビッグデータ、バーチャルリアリティー、人工知能(AI)などの研究開発に、約30%を新築物件の取引サービスの拡充に、約25%をサービス提供地域の拡大に充てる。引受証券会社は投資銀行大手のゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、JPモルガン・チェース、華興資本(チャイナ・ルネサンス)が共同で務める。
短期的利益より長期的成長を優先
貝殻找房は2018年4月、不動産仲介会社の鏈家(リエンジァ)からスピンオフして発足した。中国各地の不動産仲介会社やエージェントにプラットフォームを開放しており、2020年6月末時点で全国103都市の4万2000店が登録している。
同社のプラットフォームを介した2019年の取引件数は前年比100%増の220万件、取引総額は同84.5%増の約2兆1300億元(約32兆円)に達した。貝殻找房は主にオンライン・サービスの利用料や取引の手数料から売上げを得ており、2019年の売上高は前年比60.6%増の460億元(約6946億円)だった。
しかし損益は今も赤字だ。目論見書によれば、2019年の純損失は21億8000万元(約329億円)。さらに2020年1~3月期は3カ月間で12億3100万元(約186億円)の純損失を計上した。
貝殻找房はさらなる事業拡大を目指しており、短期間での黒字化は難しいかもしれない。創業者で董事長(会長に相当)を務める左暉氏は目論見書の中で、「『困難でも正しい』経営にこだわり、短期的利益を犠牲にしても長期的によりよい成長を目指す」と述べた。
(財新記者:牛牧江曲)
※原文の配信は7月25日
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