中国の不動産市場が過熱の様相を強めるなか、浙江省の省都の杭州市で時ならぬ「高度人材」ブームが起きている。杭州市政府は国内外から優秀な人材を呼び寄せるための高度人材認定制度を以前から実施しており、認定者は家賃補助や公共施設の優先利用などさまざまな優遇措置が受けられる。その申請者数がにわかに急増しているのだ。
財新記者が高度人材認定の審査結果を公示するウェブサイトのデータを確認したところ、2020年4月の認定者数は1469人だったが、5月は2267人、6月は3431人とわずか2カ月で2.3倍以上に増加した。
背景には、杭州市政府が4月1日から施行したマンション取得に関する新政策がある。例えば高度人材認定がA級の市民は、杭州で初めてマンションを購入する場合に抽選が免除される。その他の等級の高度人材も総売り出し戸数の20%を上限に、マンションの抽選で購入権が優先配分されることになった(訳注:高度人材の等級はAからEまで5段階に分かれている)。
人気物件の当選率は10%を割り込む
杭州市では2018年4月からマンション売り出し時の抽選が義務づけられており、人気物件では当選率が10%を割り込むことも珍しくない。だが高度人材の認定を得れば、抽選時に一定の優先権が得られる。過去の実績によれば、少なくとも7月初旬時点まで高度人材の当選率は100%だという。
それだけではない。市政府は初めて住宅を取得する市民向けに、新築マンションの販売価格に上限を定めている。ところが最近の不動産市場の過熱で、新築マンションと中古マンションの価格の逆転現象が起きている。つまり高度人材の認定を得れば、市場価格より割安な新築マンションの購入権を高い確率で入手でき、転売すれば即座に大きな利益が得られる。これが高度人材認定の申請ブームのカラクリなのだ。
もっとも、杭州市政府は事態を見かねて政策の修正に乗り出した。7月2日に発表された改定によれば、高度人材がマンションの優先購入権を行使した場合、契約から5年間はその物件を転売できなくなった。優先購入権の供与と転売権の一定期間の召し上げをセットにした住宅政策は、中国の他の都市では例がなく、効果のほどが注目される。
(財新記者:王婧)
※原文の配信は7月3日
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