中国、独自原子炉「華龍一号」の4基新設を認可 総投資額1兆円超、温室効果ガスの排出を削減

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中国政府は3年間のブランクを経て、2019年から原発新設の認可を再開した。写真は海南省の昌江原発の完成予想図(中国華能集団のウェブサイトより)

中国国務院の常務会議は9月2日、発電用原子炉の新設プロジェクト2件を認可した。海南省の昌江原子力発電所第2期(原子炉2基)および浙江省の三澳原子力発電所第1期(同2基)がそれで、両プロジェクトの投資額は合計700億元(約1兆872億円)を超える。

常務会議では、原発建設の積極的かつ着実な推進がエネルギー供給能力を下支えすると同時に、温室効果ガスの排出削減のために重要であるとの認識が示された。

今回認可された2件のプロジェクトは、いずれも中国が独自開発した第3世代原子炉「華龍一号」(形式名:HPR1000)を採用する。そのうち昌江原発第2期は、国有発電大手の中国華能集団と原子力開発の国策企業である中国核工業集団が共同で建設し、華能集団が51%、核工業集団が49%をそれぞれ出資する。

これにより、華能集団は核工業集団、中国広核集団、国家電力投資集団に続いて加圧水型軽水炉(PWR)の建設資格を獲得した4番目の発電企業グループとなった。

第4世代「高温ガス炉」の実証炉も試験運転開始

中国では2016年から2018年までの3年間にわたって原発新設の認可がなかったが、2019年に再開された。同年には核工業集団の福建漳州原発の1号機と2号機、広核集団の広東太平嶺原発の1号機と2号機の建設が相次いで認可され、いずれも華龍一号が採用された。

2020年6月末時点で稼働している原子炉は中国大陸に47基あり、総設備容量は4875万9000キロワットに達する。だが、運転中の第3世代原子炉はすべてフランス、アメリカ、ロシアから導入した技術で建設された。

一方、中国独自の華龍一号は目下複数の建設プロジェクトが進行中だ。初号機となる核工業集団の福清原発5号機は、すでに炉内に核燃料を装着する準備段階に来ており、2020年末の運転開始を目指している。

本記事は「財新」の提供記事です

中国独自の第3世代原子炉は、華龍一号以外にも「国和一号」(形式名:CAP1400)がある。また、山東省の石島湾には第4世代の原子炉技術の1つである高温ガス炉(HTGR)の実証炉が建設され、今年7月から総合的な試験運転の段階に入っている。

(財新記者:陳雪婉)
※原文の配信は9月3日

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