Suicaカードを携帯するだけで歩いて通過できる次世代改札が登場。タッチ不要の乗車体験が生活をどう変えるのか、JR東日本が示した近未来像
駅の改札でSuicaをタッチする。2001年のサービス開始以来、四半世紀にわたって続いてきたこの「当たり前」が、まもなく過去のものになろうとしている。JR東日本が2024年12月に発表した「Suica Renaissance」構想では、今後10年以内に「ウォークスルー改札」の実現を掲げた。タッチせずに歩くだけで改札を通過できる未来だ。
幕張メッセで開催された第9回鉄道技術展2025では、その具体的な姿が見えてきた。JR東日本とJR東日本メカトロニクスのブースには、次世代改札の試作機が並び、来場者が実際に体験できる状態で展示されていた。QRコード、顔認証、ミリ波通信。3つの技術が改札の未来を競い合っている。
まず変わるのは「磁気切符」
改札の変革は段階的に進む。最も早く変化が訪れるのは、券売機で購入する紙の切符だ。
2024年5月、JR東日本を含む鉄道8社は、2026年度末以降に磁気乗車券をQRコード乗車券に順次置き換えると発表した。現在、鉄道利用の約9割はSuicaなどのIC乗車券で、磁気切符を購入する利用者は5〜10%程度にとどまる。だが、この少数派のために改札機の複雑な機構を維持し続けるコストは小さくない。
JR東日本メカトロニクスのブースでは、QR対応の改札機が展示されていた。既存の改札機に赤いQRリーダーを後付けする形式で、磁気切符の投入口はそのまま残っている。移行期間中は両方式が併存するためだ。



















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