Suicaカードを携帯するだけで歩いて通過できる次世代改札が登場。タッチ不要の乗車体験が生活をどう変えるのか、JR東日本が示した近未来像
登録は顔写真1枚だけで完了する。マスク着用でも認識でき、サングラスも単独なら問題ないという。ただし両方を同時に装着すると認識精度が下がる。
顔認証改札の利点は、デバイスを一切取り出す必要がないことだ。両手に荷物を抱えた新幹線利用者や、ベビーカーを押す乗客にとっては大きなメリットになる。一方で課題もある。まず処理速度の問題だ。ブースの説明員は「1億人規模のデータベースから瞬時に照合する処理速度については、現時点では検証できていない」と話した。新幹線の定期券利用者など限定的な規模では問題ないが、首都圏の在来線に導入するには、認証技術の向上が求められる。
さらに個人情報の取り扱いも課題になる。顔認証では顔の情報と定期券の情報の両方を登録する必要がある。他の鉄道会社と連携する場合、データベースを共用しなければならず、運用面でのハードルは高い。
ミリ波という選択肢
もう一つの候補がミリ波通信だ。ミリ波は5Gの高速通信でも使われる電波帯域だが、ここでは近距離のビーコン通信として活用する。JR東日本は顔認証と並行してこの方式を研究してきた。ブースには「Walk-Through Ticket Gate System」と題された白いゲートが設置されていた。
仕組みはこうだ。利用者は専用端末にSuicaカードを差し込んで携帯する。端末にはミリ波アンテナが内蔵されており、改札機側のアンテナと高速通信してカード情報を読み取る。ポケットやカバンに入れたままでも認識され、タッチ動作は不要になる。
処理速度は1分間に69人。現行のFeliCa改札機の基準である「1分間60人以上」を上回っており、新宿駅のような大規模ターミナルでも運用できる性能だという。



















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