Suicaカードを携帯するだけで歩いて通過できる次世代改札が登場。タッチ不要の乗車体験が生活をどう変えるのか、JR東日本が示した近未来像
展示されていたQR乗車券は黄色い紙に印刷され、160円区間の運賃と有効期限が記載されていた。裏面の磁気ストライプはなく、券面のQRコードをリーダーにかざして通過する。読み取り速度は0.2秒で、現行のIC改札と同等の処理能力を確保しているという。
ブースの説明員によると、スマートフォンで購入する「えきねっとQチケ」では、4分ごとにQRコードを再生成する「動的QR」方式を採用し、不正利用を防止する。一方、券売機で発券する近距離切符は「静的QR」のまま運用される見込みだ。
磁気切符の廃止で改札機の形状も変わる。切符を吸い込む投入口がなくなれば、詰まりによるトラブルも解消される。改札機の維持コスト削減と環境負荷低減が、QR化の狙いだ。
ただし、2026年度末からQR化されるのは券売機で購入する近距離切符だ。えきねっとではすでにスマホでQR乗車券を購入できるが、窓口発券のマルス券は当面磁気のまま残る。
「タッチ」の先にある2つの技術
QR乗車券が「磁気切符の置き換え」という直近の課題を解決するものだとすれば、ウォークスルー改札は10年先を見据えた構想だ。JR東日本は現在、顔認証とミリ波通信という2つの方式を並行して検証している。
顔認証改札の実証実験は、2025年11月6日から上越新幹線の新潟駅と長岡駅で始まった。新潟駅にはNEC製、長岡駅にはパナソニックコネクト製と、異なるメーカーの改札機を1台ずつ設置し、2026年3月31日まで運用する。
鉄道技術展のJR東日本メカトロニクスブースには、NEC製の顔認証改札機が展示されていた。黒い光沢のある天面に小型カメラが埋め込まれ、通過の可否は天面に浮かび上がる矢印やチェックマークで示される。フラッパー(扉)のないオープンな構造で、認証に失敗した場合は「通れません 戻ってください」と表示される仕組みだ。



















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