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「非金融」にも踏み出した三井住友カードの野望と勝算 続々と育つ次世代の収益源、次の照準は「第2のSuica」か

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Vトリップの発表会見
世界的な旅行サイト事業者との協業でVポイント経済圏の拡大なるか。写真は3月31日に旅行予約サイト「Vトリップ」を発表した三井住友カードの大西幸彦社長(右)と、Hopper社のダコタ・スミス代表(記者撮影)

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三井住友カードが金融発「スーパーアプリ」への道を歩み出した。同社は3月31日、非金融分野の第1弾となる旅行予約サイト「Vトリップ」を開始した。世界的な旅行サイトを運営するカナダHopper社との協業によるもので、三井住友カード会員とVポイント会員向けにサービスを提供する。

Vトリップには、Hopper社の技術を活用して航空券の価格予測機能などを搭載。支払いにVポイントを利用でき、最大10%のポイントを還元する。三井住友カードの大西幸彦社長は発表会見で「旅行はクレジットカードとの親和性が大きいマーケット。これから第2弾、第3弾と非金融分野を広げていきたい」と表明し、まずは旅行サイトの展開でVポイント経済圏の拡大を図る。

攻勢の手を緩めず「独り勝ち」状態

クレジットカード業界で、三井住友カードの猛攻が際立っている。同社が提供する決済端末ステラは、2020年のリリースから当初5年間で30万台を目指していたが、3年10カ月で達成。現在は2030年までの100万台達成を目指している。会場内が全面キャッシュレスとなる大阪・関西万博も、その決済基盤は約1300台が配備されるステラだ。

小口決済で台頭するPayPayへの対抗意識も隠さない。VISAやマスターカード(国際ブランド)が中小加盟店のインターチェンジフィー(カード会社間手数料)を引き下げたことに伴い、カード各社が加盟店料率を引き下げる中、三井住友カードは業界最低水準の1.98%に設定。これはPayPayの定額プラン未加入店舗と同じ料率だ。実際に「(PayPayの料率を)メルクマールにした」(担当部)といい、PayPayの牙城である中小店舗の切り崩しにかかる。

ステラによる加盟店拡大には、手数料収益やVポイント経済圏の拡大はもちろん、金融収益の拡大につなげる思惑も透ける。2023年7月に吸収合併したSMBCモビットの商品や事業性資金向けのオーナーズカード、ファクタリング(債権買い取り)サービスを加盟店に利用してもらうことで、低廉なカード収益とは別の軸を生み出す構えだ。

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