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公取委も目をつけた「決済の巨人」VISAの横暴 ネットワークを独占して手数料を操る「市場支配」

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国内クレジットカードのブランドシェアで約5割を占めるVISA。力が強すぎるがゆえの弊害が目立ってきた。

VISAと公正取引委員会
独占禁止法が禁じる「拘束条件付き取引」や「取引妨害」の疑いで、国際カードブランドに対して初めて公正取引委員会が立ち入り検査を行った(nevodka / PIXTA)

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2024年7月、あるニュースがキャッシュレス業界を騒然とさせた。「市場の番人」と呼ばれる公正取引委員会が、国際カードブランド最大手であるVISAの日本法人に独占禁止法違反の疑いで立ち入り検査に入ったことを伝える報道だ。

公取委の関係者が当時、「問題の解明には1年から1年半はかかる」と話したとおり、現在も調査が継続している。

国内クレジットカードのブランドシェアで約5割を占める「決済の巨人」に何が起きているのか。取材を進めると、決済ネットワークを独占することで手数料を操る「市場支配」の一端が見えてくる。

巨大ネットワークが収益の源泉

VISAのマークが付いたクレジットカードがあれば、世界中の大半の店舗で決済を行える。1枚のカードが万国共通の決済手段として利用できるのは、世界中に独自のネットワーク(VISAネット)が張り巡らされているからだ。

キャッシュレス業界では、クレジットカードやデビットカードを発行してカード会員を管理する会社を「イシュアー」と呼び、カードを利用できる加盟店の開拓・管理を行う会社を「アクワイアラー」と呼ぶ。

VISAは自社ブランドのクレジットカードが使われるたびに、イシュアーやアクワイアラーからネットワークフィーやブランドフィーとして手数料を得る。この巨大なネットワークからもたらされる手数料がVISAの収益源だ。

そこでVISAは、この手数料収益を拡大させるための策略を国内で展開してきた。簡潔にいうと次のように説明できる。

まずクレジットカード各社がVISAネットしか利用できないような経済条件を設定することでライバル会社を排除し、決済ネットワークを支配。クレジットカード会社がほかのネットワークに乗り換えられない状況にする。

そのうえで「VISAが利する新たな手数料や条件を課していく」(大手カード会社幹部)という手法だ。

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