キャッシュレス推進の壁「加盟店手数料」に風穴 「インターチェンジフィー」が大きく動き出した
カード会社間の手数料である「インターチェンジフィー」。その引き下げがもたらそうとしている変化とは。
キャッシュレス決済比率40%――。経済産業省が2018年公表の「キャッシュレス・ビジョン」で掲げたこの目標が、ついに達成する見通しだ。
経産省によると2023年の同比率は39.3%。多様なキャッシュレスサービスが一段と普及したことで、3月末にも発表される2024年実績では40%を超えることが確実視される。
政府が掲げる将来的な同比率の目標は、世界最高水準の80%。この数字を達成するには、体感的にあらゆる場所で現金以外の決済手段を利用できるようになっている必要がある。
極めて高いハードルだが、足元ではキャッシュレス決済のさらなる普及につながる地殻変動が起きている。長年にわたりキャッシュレス推進の妨げとされてきた「岩盤」が、音を立てて崩れ出しているのだ。
焦点は中小加盟店の手数料率
岩盤とは、クレジットカードの加盟店手数料だ。
クレジットカードはキャッシュレス決済の8割以上を占めており、言わばこの世界の主役。キャッシュレス決済比率をさらに高めていくには、「クレジットカードを利用できる場所と機会を一段と増やしていくことが肝要」。キャッシュレス決済の現状に詳しい山本国際コンサルタンツの山本正行代表はそう話す。
しかし日本は、海外と比較してクレジットカードの加盟店手数料率が高い。欧州では大手加盟店でカード決済額の0.3%程度、中小加盟店でも0.4~0.5%程度なのに対し、日本は平均が2.65%(2023年実績、野村総合研究所調べ)。中小加盟店に限れば3%を超えるケースがほとんどだ。
この加盟店手数料率の高さが障壁となり、中小事業者などはクレジットカード決済の導入に二の足を踏んできた。それが2024年の11月から12月にかけて、多くのカード会社が中小事業者の加盟店手数料率を大幅に引き下げた。
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