中国の国有コングロマリット、招商局集団の傘下で原油輸送を手がける招商局能源運輸(中国語の略称は招商輪船)は7月6日夜、2020年上半期の純利益が28億~31億元(約428億~474億円)と前年同期(4億7400万元=約72億5000万円)の6倍前後に達するとの見通しを発表した。
これは2019年通期の純利益(16億1300万元=約247億円)の2倍近くに相当し、2006年12月に上海証券取引所に上場して以来の最高益となる。招商輪船の発表を受けて、翌7月7日の株価は急騰、ストップ高の7.07元(約108円)をつけた。
招商輪船は中国の国有海運最大手、中国遠洋海運集団の傘下の中遠海運能源運輸とともに、中東など海外産の原油を中国に輸送する大役を担っている。同社の超大型タンカー(VLCC)の保有数は51隻と、中遠海能の52隻に次ぐ世界第2位を誇る。
ピーク時は1日あたり運賃が4300万円に
「タンカーの運賃相場が乱高下するなかでチャンスをつかみ、比較的高い運賃で輸送契約を獲得した」。今年上半期の純利益が急増した理由について、招商輪船の取締役会のスポークスパーソンを務める孔康氏は機関投資家向けの電話説明会でそう述べた。
孔氏が言うタンカー運賃の乱高下は、今年3月から4月にかけての原油価格の歴史的暴落をきっかけに生じたものだ。
需給のだぶつきで石油輸入国の備蓄施設が満杯に近づいたところへ、一部の需要家の底値買いの思惑が重なり、原油の一時貯蔵先としてのタンカーの需要がにわかに急増した。中東と東アジアを結ぶ航路のVLCCの1日当たりスポット運賃は例年のこの時期は5万ドル(約538万円)以下だが、今年はピーク時に40万ドル(約4300万円)に高騰、平均でも20万ドル(約2150万円)を上回った。
もっとも、主要産油国が協調減産に合意して原油価格が徐々に回復に向かうと、VLCCのスポット運賃は5月から一転して急落。7月初旬時点では1日当たり2万ドル(約215万円)台に落ち込んでいる。2020年下半期の見通しについて孔氏は、世界最大の石油消費国であるアメリカでの新型コロナウイルスの感染状況や、原油の一時貯蔵先として停泊中のタンカーが本来の輸送用途にどれだけ戻るかなどを見極める必要があると語った。
(財新記者:賈天瓊)
※原文の配信は7月8日
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