南太平洋のパプアニューギニアの国家裁判所は9月1日、世界有数の金山として知られるポルゲラ鉱山の採掘権をめぐるパプア政府と採掘会社の争議について、採掘会社バリック・ニューギニア(BNL)の訴えを棄却した。
パプアの現地紙ポスト・クーリエは、国家裁判所の判断によって「ポルゲラ鉱山の支配権がパプア政府の手に戻った」と報じた。国家裁判所は今回の判断を9月21日に最終確定し、詳細な理由を付記した判決書を開示する予定だ。
このことは、中国の金採掘大手の紫金鉱業集団が同社最大の金鉱権益を失うリスクが高まったことを意味する。紫金鉱業は2015年、ポルゲラ鉱山の採掘権を持つBNLの株式の50%を2億9800万ドル(約316億円)で買収。2019年には紫金鉱業の金生産量の21.6%に当たる8.83トンがポルゲラ鉱山から配分され、5億2600万元(約82億円)相当の純利益をもたらした。
仮にBNLの採掘権剥奪が確定すれば、紫金鉱業は大損失を被るのが避けられない。BNLは9月1日付の声明で、国家裁判所の判断を不服として上訴するとともに、世界銀行の投資紛争解決国際センター(ICSID)に調停を求めると表明した。
パプア首相は採掘権を国営企業に供与
実は、BNLの採掘権は2019年8月に期限が切れていたが、その後も採掘の継続が認められていた。ところが今年4月24日、パプア政府はBNLの採掘権の更新申請を認めないと突如発表。BNLはこれに抗議してポルゲラ鉱山の操業を停止し、現在も再開していない(訳注:ここまでの経緯は『パプア「中国企業の金鉱採掘権」延長却下の訳』を参照)
そんななか、パプア政府は8月25日、ポルゲラ鉱山の20年間の採掘権を国営企業のクムル・ミネラルズ(KMHL)に供与した。パプアのジェームズ・マラペ首相はこのとき、「政府は裁判所の判断を待ったうえで、適切な措置を取ってポルゲラ鉱山の操業を再開したい」と述べた。
だがBNLは、マラペ首相が操業再開にかかるコストや鉱山のオペレーションの複雑さを過小評価していると主張する。同社はKMHLへの採掘権供与は違法かつ無効だと訴えると同時に、(BNLの採掘権更新を認めれば)ポルゲラ鉱山が生み出すキャッシュフローの57%をパプア政府に20年間納付することなどをマラペ首相に提案している。
(財新記者:趙煊)
※原文の配信は9月3日
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