中国では「コロナ後」の素材産業の操業再開が進むとともに、原材料の先物相場が上昇を見せている。なかでも高騰が著しいのが鉄鉱石だ。中国の商品取引所の先物価格は4月2日時点では1トン当たり554元(約8476円)だったが、4カ月後の8月7日には同910元(約1万3923円)と64%も値上がりした。
「いくら新型コロナ(という特殊要因)の影響があったとはいえ、これほどの高騰は現実の需給とかけ離れている」。ある先物市場の関係者はそう話す。この関係者によれば、鉄鉱石相場の急上昇の根源は埠頭での荷揚げ作業の遅れにある。中国が輸入した鉄鉱石の3割が運搬船の上で沖待ちを強いられ、それが国内の在庫不足を招いているというのだ。
「運搬船は港に到着しても船員の(新型コロナの検査を含む)検疫に時間がかかり、荷揚げ作業が追いつかない状況だ。このため荷揚済みの在庫を鉄鋼メーカーが奪い合い、相場急騰を引き起こした」(関係者)
外資が現物売りの先物買いで荒稼ぎ?
それだけではない。先物市場の参加者の間では、アメリカ金融大手JPモルガンチェースの強気の買いが注目を浴びている。8月19日時点で同社の買い持ちは4万4043枚に達し、持ち高ランキングで首位になった。
「外資は鉄鉱石の荷揚の停滞が長引くと見て、現物市場での売りと先物市場での買いを繰り返して荒稼ぎしている」。そう話す関係者によれば、JPモルガンチェースの背後にはアメリカのコモディティー大手カーギルの姿が見え隠れするという。
鉄鉱石相場の今後については、市場関係者の見方は割れている。値上がりがさらに続くと予想する向きは、荷揚の停滞が解消されていないことや、鉄鋼メーカーの需要が強いことを理由に挙げる。一方、値下がりに転じると予想する向きは、すでに港に到着した鉄鉱石の荷揚が進めば市場の風向きが一変しうることや、現在の価格では鉄鋼メーカーの利益が出なくなり需要が弱まる可能性を指摘した。
(財新記者:劉彩萍)
※原文の配信は8月20日
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