中国の鉄鋼大手「宝山鋼鉄」純利益4割減の衝撃

業界の過剰生産と鉄鉱石相場の上昇が痛手に

中国鉄鋼業界の生産過剰は容易には解消しない。写真は宝山鉄鋼の熱間圧延ライン(宝山鋼鉄のウェブサイトより)

中国の鉄鋼大手の宝山鋼鉄は4月28日、2019年の通期業績および2020年1~3月の四半期業績を発表した。

それによれば、2019年の売上高は前年同期比4.42%減の2915億9400万元(約4兆4000億円)、純利益は同42%減の124億2300万元(約1900億円)と、売上高に比べて純利益の減少幅の大きさが目立った。2020年1~3月期は売上高が前年同期比8.27%減の599億7300万元(約9000億円)、純利益が43.6%減の15億4000万元(約230億円)と、業績がさらに悪化している。

宝山鋼鉄は中国最大手の鉄鋼グループ、宝武鋼鉄集団の中核企業だ。同社の業績は中国の鉄鋼業界全体の現状を象徴していると言える。

大幅減益の理由について宝山鋼鉄は、2019年は鉄鋼業界全体の生産過剰で鋼材の市場価格が下落したのと同時に、原料の鉄鉱石の相場が上昇したためと説明した。2020年1~3月期は新型コロナウイルスの世界的大流行により、鉄鋼業界も大きなダメージを受けた。

2020年4~6月期も純利益の大幅減を予想

中国鋼鉄工業協会が発表する主要鋼材の総合価格指数は、2019年の平均値が107.98と前年より6ポイント低下した。さらに2020年4月第2週には96.86まで下がり、2017年5月以来の安値を記録した。一方、鉄鉱石の代表的な価格指標のひとつであるプラッツ指数の2019年の平均値は、鉄含有62%の鉱石1トン当たり93.4ドル(約1万円)と前年比34%上昇した。

鋼材価格の下落と鉄鉱石相場の上昇という二重の圧力で、宝鋼鋼鉄の主力製品は粗利率の低下を余儀なくされた。同社では冷間圧延鋼板コイルと熱間圧延鋼板コイルの2製品が総売上高の5割強を占めるが、2019年の粗利率は前者が10.7%と前年比5.6ポイント低下、後者は10.2%と同9ポイント低下した。

本記事は「財新」の提供記事です

今後の見通しについて宝山鋼鉄は、「世界景気の大幅な下振れリスクが強まっているが、鉄鋼業界の過剰生産の短期的な解消は難しい」と予想。2020年4~6月期も事業環境は厳しく、純利益の大幅減少が見込まれるとした。

(財新記者:趙煊)
※原文の配信は4月29日

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