中国の粗鋼生産量が史上最高の水準に回復してきた。中国国家統計局が6月15日に発表したデータによれば、5月の全国の粗鋼生産量は1日当たり平均297万6000トンに達し、2019年6月の同291万8000トンを抜いて過去最高記録を更新した。
2018年以降、粗鋼生産量は1日当たり平均250万~290万トンの範囲で上下してきた。中国で新型コロナウイルスが流行した2020年1~2月(注:単月データは未公表)は同257万8000トン、3月は同254万7700トンと250万トン台で推移したが、経済活動の再開が本格化した4月は同283万4300トンに急増、さらに5月の記録更新につながった。
鉄鋼業界のアナリストによれば、粗鋼生産の回復の背景には製鉄所の操業再開が進んだことに加え、政府の公共インフラ投資の加速により建築向けや建設機械向けの鋼材需要が旺盛になっていることがあるという。
中国需要が鉄鉱石相場を押し上げ
建設機械メーカーの業界団体の中国工程機械協会が6月8日に発表したデータによれば、2020年5月の油圧ショベルの国内販売台数は3万1700台と、前年同月比68%の大幅な増加を示した。また、国家統計局が6月15日に発表したデータによれば、インフラ関連投資の1~5月の累計額は前年同期比6.3%減少したものの、減少幅が1~4月(11.8%減)より5.5ポイント縮小した。
中国の旺盛な需要は鉄鉱石の国際相場を押し上げている。鉄鉱石の代表的な価格指標のひとつであるプラッツ指数は6月8日、鉄含有62%の鉱石1トン当たり106.55ドル(約1万1440円)を記録。その後も高値圏で推移しており、4月初旬と比較して3割以上も値上がりした。
ただ、鋼材需要がこの勢いで伸び続けると見る市場関係者は少ない。目下の需要は新型コロナの反動の要素が大きいことに加え、通常の場合でも4~6月期の需要が年間を通じて最も大きいからだ。このため鋼材需要は遠からずピークを打ち、年後半には調整期に入る可能性がある。
(財新記者:周美霖、羅国平)
※原文の配信は6月15日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら