スウェーデンの通信機器大手のエリクソンは6月8日、中国での5G(第5世代移動通信)ネットワークの受注増加にともない中国事業の売上高総利益率が一時的にマイナスになると発表した。また、中国市場向けの製品在庫の減損処理で約10億スウェーデンクローナ(約119億円)の評価損を2020年4~6月期決算に計上。これらの影響により同期の利益が圧迫されるとの見通しを明らかにした。
5G基地局に代表されるネットワーク事業は、エリクソンにとって2020年1~3月期の総売上高の70%を占める大黒柱だ。同四半期のネットワーク事業の売上総利益率は44.6%だった。
中国事業の売上高総利益率がマイナスになる理由について、エリクソンは「新製品の初期コストがかさむため」と説明。受注の契約期間を通して考えれば適切な利益が見込まれるとした。そのうえで、中国の5G事業の売上高総利益率と営業利益率が2020年後半からプラスに転じると予想し、同社が掲げている2020年のグローバル事業の営業利益率10%以上、2022年に同12~14%という目標は据え置いた。
5G基地局入札に戦略価格で応札
今年3月、中国の移動体通信最大手の中国移動(チャイナ・モバイル)は2020年のスタンドアロン型5G基地局の入札結果を公表した。5G通信網を共同で整備している同2位の中国電信(チャイナ・テレコム)と3位の中国聯合通信(チャイナ・ユニコム)も、4月に入札結果を公表。いずれの入札でも、エリクソンは中国の華為技術(ファーウェイ)と中興通訊(ZTE)に続く3位で落札候補者に選ばれた(訳注:詳しくは『中国「5G基地局」を巡る熾烈な競争入札の結末』を参照)。
対照的に、欧州のライバルであるフィンランドのノキアはすべての入札で落選した。エリクソンは受注獲得を確実にするため、短期的な赤字覚悟の低価格で入札に臨んだと見られている。
「中国市場でのシェア拡大は規模の優位性を生み出し、世界最大の5G市場におけるエリクソンの地位を強化する。それはエリクソンにとって戦略的に重要な意味を持つ」
同社は6月8日付の発表のなかでそう説明した。
(財新記者:何書静)
※原文の配信は6月8日
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