新型コロナウイルスの流行で深刻な打撃を受けた中国の映画館チェーン大手、万達電影(ワンダ・フィルム)は第三者割当増資による「輸血」に踏み切る。同社は11月9日、1株当たり14.94元(約236円)で1億9600万株を発行し、約29億2900元(約462億円)を調達すると発表した。
今回の第三者割当増資はプライベート・エクイティ・ファンドの高毅資産、スイスの金融大手UBS、中国の証券大手の中信証券など8社が引き受けた。発行される新株は売り渡しから6カ月間は譲渡が制限される。
高毅資産は16億元(約252億円)を投じて新株の54.59%に当たる1億700万株を取得。UBSは同10.24%、中信証券は同8.36%をそれぞれ取得する。増資の完了後、高毅資産は持株比率4.71%で万達電影の第3位株主となる。
万達電影にとって今回の増資は極めて重要だ。新型コロナの発生後、中国全土の映画館は半年近い休業を余儀なくされ、営業再開後も依然厳しい経営状況が続いているからだ。
1~9月の営業キャッシュフロー8割減
10月30日に万達電影が発表した2020年7~9月期の業績は惨憺たるものだった。今年の1~9月の累積売上高は32億1400万元(約507億円)と、前年同期から7割以上縮小、純損益は20億1500万元(約318億円)の赤字に転落した。
同社によれば、今回の増資で調達する資金は20億2700万元(約320億円)を映画館の新設プロジェクトに投じ、8億6900万元(約137億円)をキャッシュフローの補充と債務返済に充てる計画だという。
映画館の長期休業により、万達電影の今年1~9月の営業キャッシュフローは2億1500万元(約34億円)と前年同期比80.5%も減少した。9月末時点の総負債は124億9200万元(約1970億円)に上り、総資産負債比率は50.81%に上昇している(訳注:2019年末時点では46.62%)。
今回の増資を通じて万達電影は財務体質を改善。それをテコに、映画館の新設による観客動員数とグッズの売り上げの拡大や、新作映画への投資、製作、配給の各業務の強化を目指す。
(財新記者:関聡)
※原文の配信は2020年11月10日
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