中国は新型コロナウイルスの流行をほぼ抑え込んだが、人々が買い物や外食に出かける頻度が減り、ショッピングセンターではテナントの撤退が増え続けている。不動産サービス大手のサヴィルズの調査によれば、首都北京の商業施設では2020年7~9月期の平均空室率が10.7%に達した。
調査対象は北京市内の90カ所の商業施設で、7~9月期の平均空室率は直前の4~6月期に比べて1ポイント上昇。新型コロナが流行する前の2019年10~12月期と比較すると3.6ポイント上昇した。サヴィルズでは、空室率は今年末まで上がり続けると予想している。
同社の華北地区の調査責任者を務める李想氏によれば、北京の商業施設の空室率はかつてはおおむね5~6%の範囲内で推移していた。しかし2020年4~6月期および7~9月期は撤退したテナントが新たに開店したテナントを上回り、それが空室率を押し上げたという。
賃料水準も下落が続く
新型コロナは賃貸オフィスや住宅の市場にも影響を与えたが、ショッピングセンターはテナントの飲食店や映画館などが軒並み休業に追い込まれたため、より深い打撃を被った。コロナ禍が和らいだ今も、商業施設の回復は勢いを欠いている。ブランドショップなどが店舗展開を縮小し、撤退したテナントの後釜を探すのが難しくなっているためだ。
空室率の上昇とともに賃料水準も下がっている。不動産サービス大手のジョーンズ ラング ラサールのデータによれば、北京の小売店舗向け物件の1平方メートル当たり平均月額賃料は、7~9月期は879元(約1万3744円)と4~6月期より3.3%下落した。
ただ、そんななかでも商業施設の賃借を増やしている業種もある。ジョーンズ ラング ラサールによれば、政府の優遇政策などを受けて新エネルギー車(訳注:電気自動車[EV]、燃料電池車[FCV]、プラグインハイブリッド車[PHV]の総称)の販売が伸びているのを背景に、7~9月期は新エネルギー車メーカーのショールームの新規出店が続いたという。
(財新記者:牛牧江曲)
※原文の配信は10月16日
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