中国の首都、北京の賃貸オフィスビル市場では2020年4~6月期の新規賃貸契約が幾分回復したものの、空室率は10年ぶりの高水準が続き、賃料相場が下がり続けている。不動産サービスをグローバルに展開するサヴィルズとクッシュマン・アンド・ウェイクフィールドの2社が、そんなレポートを相次いで発表した。
空室率と賃料相場は賃貸オフィス市場の市況を見るうえで重要な指標だ。サヴィルズのデータによれば、北京市のAクラスオフィスビルの平均空室率は4~6月期は13.6%と、直前の1~3月期より0.4ポイント上昇。前年同期比では4.9%高く、2010年以降の最高水準にある。
一方、クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドのデータによれば、Aクラスオフィスビルおよび5大主要商業地区の賃貸オフィスの「純吸収面積」(訳注:同一期間の新規貸し出し面積から退去で返却された面積を差し引いた値)は1~3月期のマイナスから4~6月期はプラスに転じた。
賃料相場の下落は6四半期連続に
純吸収面積がプラスになったにもかかわらず空室率が上昇したのは、もともと1~3月期に竣工予定だった新築ビルの工事が新型コロナウイルスの流行で一時中断し、供用開始が4~6月期に遅れた影響が大きい。中央ビジネス地区の三星タワーや金融街の金嘉ビルなど合計36万2000平方メートルが新たに市場に供給され、空室率を押し上げた。
実際には、さらに多くの新築オフィスビルの竣工が今年下半期にずれ込む見通しだ。サヴィルズの調査によれば、今年下半期の賃貸オフィスの新規供給面積は約65万8000平方メートルに及ぶ。このため、北京の空室率はさらに上昇を続けそうだ。
空室率の上昇とともに賃料相場も下がり続けている。サヴィルズのデータによれば、北京市のAクラスオフィスビルの4~6月期の平均賃料は1平方メートル当たり月額360.5元(約5516円)と、1~3月期より0.9%下落。平均賃料が直前の四半期を下回るのはこれで6四半期連続だ。
(財新記者:牛牧江曲)
※原文の配信は7月8日
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