スマートフォン市場の成長が頭打ちになるなか、端末メーカー各社が大画面のスマートテレビに参入するケースが増えている。10月19日に初のスマートテレビを発表した中国のスマホ大手のOPPO(オッポ)は、その最新の事例だ。
今回発表したスマートテレビの旗艦モデル「S1」は、量子ドット技術を用いた65インチの大型液晶パネルを搭載し、心臓部には台湾の聯発科技(メディアテック)製のクアッドコア・プロセッサーを採用。メーカー希望価格は7999元(約12万5941円)だ。また、同時に発表した55インチと65インチの下位機種は高精細な4Kパネルを搭載し、メーカー希望価格は前者が3299元(約5万1941円)、後者が4299元(約6万7686円)である。
OPPOのスマートテレビは、同社が(オープンソースの)アンドロイドをベースに開発した「Color OS」を基本ソフトに採用し、複数のデバイスを連携させる際の利便性を高めた。例えば、ユーザーはスマートテレビの画面上で対話アプリ「微信(ウィーチャット)」のテレビ電話機能を利用したり、スマートテレビとワイヤレスイヤホンをペアリングして音量をスマホで調節したりできる。
スマホにつながるあらゆる分野で競争
市場調査会社のIDCによれば、端末メーカーはスマホを家庭内のさまざまなスマート家電を制御する「核」として位置づけ、それぞれのデバイスが搭載する画面表示を連動させる戦略に注力している。この分野で先行した小米(シャオミ)は自社ブランドのスマートテレビを2013年に発売し、2019年の中国国内向け出荷台数が1000万台を超えた。中国の通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)も、2019年9月に初のスマートテレビを発売した。
「OPPOにしてみれば『競合他社の商品は自社にも必要』という論理だ。せっかくの商機をみすみすライバルに譲りたくはない」。市場調査会社カナリスのアナリストの賈沫氏は、OPPOのスマートテレビ参入の背景をそう解説する。同氏によれば、端末メーカー間の競争はスマホ本体だけにとどまらず、スマホにつながるあらゆる事業分野に広がりつつあるという。
もちろん、事業の大黒柱がスマホであることに変わりはない。しかし市場の成熟に新型コロナウイルス流行の影響が加わり、OPPOの2020年4~6月期のスマホ出荷台数は前年同期比19%減の2400万台にとどまった。ただ、アメリカ政府の制裁強化で半導体の調達が困難になったファーウェイが市場シェアを落とすとみられることから、OPPOは今年後半の出荷台数の見通しを大幅に引き上げている。
(財新記者:何書静)
※原文の配信は10月20日
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