中国の国有通信大手の中国移動(チャイナモバイル)は、5G(第5世代移動通信)ネットワークと中国独自の衛星測位システム「北斗3号」を組み合わせた高精度の測位サービス「OnePoint(ワンポイント)」を開始する。10月22日、同社が江蘇省蘇州市で開催した自動運転技術のフォーラムで発表した。
中国移動の法人向けサービス部門の副総経理を務める兪承志氏によれば、OnePointに対応した設備は移動体ならば誤差1~5センチメートル、静止物ならば同3~5ミリメートルのレベルの精緻な測位が可能だ。具体的な用途としては自動運転車両、ドローン、インフラ施設周辺の地盤の監視システムなどへの組み込みを想定しているという。
人工衛星を利用した測位システムは、スマートフォンなどの民生用電子機器ですでに広く使われている。だが、これまでは誤差が5~20メートルと比較的大きく、特殊な条件下では測位が大きくずれることもあった。
総勢3000人超の専門チーム設立
その欠点を克服したのが、OnePointのような最新の高精度測位サービスだ。当初は精密な測量や地図作成から利用が始まり、続いて自動運転、スマート農業、IoT(モノのインターネット)、スマートシティなどの分野に応用範囲が広がりつつある。
中国移動副総経理の趙大春氏によれば、同社は5G通信ネットワーク、高精度測位ネットワーク、自動運転向けの「インフラ協調型」ネットワーク(訳注:自動運転車両と道路インフラの間でデータを相互にやりとりするための通信網)の構築を同時に進めている。これらを融合させることで、自動運転車両とクラウドのデータ連係、車両側と道路側のセンサー協調による(歩行者や障害物の)感知、車両位置の精緻な測位など、より高度な自動運転を実現するためのニーズに応えていく。
趙氏はまた、中国移動が自動運転関連の事業拡大を加速するため3000人を超える規模の専門チームを設立したことも明らかにした。資金面でも年平均3億元(約47億円)以上を投じ、自動運転関連の通信インフラ整備や応用分野の開拓を進めるという。
(財新記者:方祖望)
※原文の配信は10月22日
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