中国で5G(第5世代移動通信)の商用サービスが始まってから1年も経たず、5G端末の小売り価格が早くも「1000元(約1万5500円)」時代に突入した。
スマートフォンメーカーのrealme(リアルミー。漢字名は真我)は9月1日、5Gスマホの新製品「真我V3」を発表。6ギガバイトのメインメモリー、64ギガバイトの内蔵ストレージを搭載した下位機種で希望価格が999元(約1万5485円)と、5Gの端末価格を業界に先駆けて1000元未満に引き下げた(訳注:realmeは2018年に広東省深圳市で創業した新興メーカー。当初はインドや東南アジアなどの海外市場を開拓し、2019年4月に中国市場に逆上陸した)。
今後は競合メーカーも、1000元未満の5Gスマホを続々と市場に投入すると予想される。だが、それらが5Gスマホ市場の主流になる可能性は短期的には低そうだ。中国の3大通信事業者の5G料金プランは月額最低128元(約1984円)からと、4Gの数十元からに比べてまだ高く、低価格スマホの購買層にとって通信契約を5Gに変更するハードルになっているからだ。
「真我V3の登場の意義は(市場へのインパクトよりも)5Gスマホの価格を1000元未満に下げられることを世に示したことにある」。市場調査会社カナリスのアナリストの賈沫氏は、そう分析する。
1~7月の中国向け出荷の4割強が5Gに
2019年11月に5Gの商用サービスがスタートして以降、中国市場では5Gスマホの発売が相次ぎ、メーカー間の激しい競争で瞬く間に価格が下落した。その効果で販売台数は大幅に増加している。中国工業情報化省直属のシンクタンク、中国信息通信研究院のデータによれば、2020年1~7月に中国国内向けに出荷された1億7500万台のスマホのうち、5Gスマホは7751万台と4割強を占めた。
なお、低価格の5Gスマホには真我V3を含めて1つの共通点がある。それは台湾の半導体設計大手、聯発科技(メディアテック)が開発したローエンドの5Gスマホ向けSoC(訳注:システムオンチップの略称。CPUや通信モデムなどの基幹部品を1つの基板にまとめたもの)を搭載していることだ。同社のライバルであるアメリカのクアルコムのSoCは、小売り価格がおおむね2000元(約3万1000円)を超えるミドルクラス以上の5Gスマホにしか採用されていない。
市場調査会社IDCのアナリストの王希氏によれば、メディアテックは5G向けSoCの市場シェア拡大を急いでおり、「コスト面で最大限のサポートをスマホメーカーに提供している可能性がある」という。
(財新記者:屈慧)
※原文の配信は9月2日
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら