世界の粗鋼生産量に占める中国のシェアが、2020年4月から4カ月連続で61%を超えたことが明らかになった。新型コロナウイルスが流行する前の中国のシェアは53%前後で推移しており、短期間で約8ポイントも急上昇したことになる。
中国では3月から新型コロナの感染拡大が落ち着き、4月には経済再開が本格化して粗鋼生産量が増加に転じた。一方、海外では新型コロナの流行が長引き、各国の粗鋼生産量は減少している。これが中国の世界シェアが増加した背景だ。鉄鋼メーカーの国際的な業界団体である世界鉄鋼協会の統計によれば、中国のシェアは2020年4月に62.00%と初めて6割を突破し、5月は62.03%、6月は61.77%、7月は61.17%をそれぞれ記録した。
粗鋼生産の増加は原材料の需要を押し上げ、鉄鉱石相場の高止まりを招いている。鉄鉱石の代表的な価格指標のひとつであるプラッツ指数は8月11日以降、鉄含有62%の鉱石1トン当たり120ドル(約1万2736円)を超える高水準が1カ月近く続いている。
再び構造的な供給過剰に陥る可能性も
一方、鋼板や鋼管などの鉄鋼製品は供給が需要を上回り、鉄鋼メーカーは市場価格の低迷と在庫の増加に悩んでいる。中国鉄鋼工業協会のデータによれば、大型鉄鋼企業の2020年6月末時点の鋼材在庫量は1582万トンと前年同月比26.8%増加。7月末には1432万トンに減少したものの、前年同月比ではなお9.5%多い水準だ。
こうした状況に圧迫され、鉄鋼メーカーの利益は目減りする一方だ。2020年1~6月期決算を9月1日までに発表した中国の上場鉄鋼メーカー30社のうち、9割を超える28社の純利益が前年同期より減少した。
「各社はみな過剰生産が引き起こす問題を認識しているが、個別企業の減産意欲は高くない。仮に減産すれば自社の生産コストが上昇し、減産しない競合他社に商売をさらわれるからだ。こうした疑心暗鬼により、協調減産の実現は難しい」。鉄鋼業界の内情に詳しい関係者はそう解説する。このままでは、鋼材市場は再び構造的な供給過剰に陥る可能性が高い。
(財新記者:趙煊、羅国平)
※原文の配信は9月3日
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