インド政府は9月2日、118本の中国製アプリの使用を禁止すると発表した。理由は「インドの主権および領土の保全、国防、国家の安全および公共の秩序に有害であるため」としている。これは6月29日に中国製アプリ59本の使用を唐突に禁じたのに続く措置で、対象には中国ネット業界大手の阿里巴巴(アリババ)、騰訊(テンセント)と百度(バイドゥ)の主力アプリがほぼすべて含まれている。
今回禁止された118本は、SNS(社交アプリ)、動画配信、ネットツール、ライブコマース(訳注:生中継のネット動画による実演販売)、電子商取引、キャッシュレス決済、オンラインゲームなど、あらゆるアプリのカテゴリーを網羅している。
禁止アプリの代表例は、アリババ傘下の動画配信サービス「優酷(Youku)」、ネット通販の「手機淘宝(モバイル・タオバオ)」、スマートフォン決済の「支付宝(アリペイ)」、テンセントのビジネス向け対話アプリ「WeChat Work(ウィーチャットワーク。漢字名は企業微信)」、オンラインゲーム「絶地求生(プレイヤーアンノウンズバトルグラウンズ)」のモバイル版、百度のポータルアプリなどだ。
中国とインドの国境紛争が影響か
インド情報技術省の説明によれば、これらのアプリはユーザーの許可を得ることなく個人情報を窃取して転送し、インド国外に設置されたサーバーにデータを記録しているとの告発を受けている。インド政府は、こうしたデータを敵意をもって収集・分析されることが、最終的にインドの主権と領土保全に影響を与えると認識しているという。
今回に先立つ6月29日の禁止措置の際にも、インド政府はほぼ同様の理由を掲げていた。この時は北京字節跳動科技(バイトダンス)傘下のショート動画アプリ「TikTok(ティックトック)」、テンセントの対話アプリ「WeChat(ウィーチャット。漢字名は微信)」、アリババ傘下のウェブブラウザー「UCブラウザー」、百度の地図アプリおよび翻訳アプリ、新浪(シナ)のミニブログ「微博(ウェイボー)」などのメジャー・アプリが対象にされた。
なお、6月29日の禁止措置に関しては、中国とインドの国境地帯で起きた衝突(訳注:6月16日に中国とインドがともに領有権を主張するヒマラヤ山脈の係争地で両国軍が衝突し、双方に死傷者が出た事件)が影響したとの見方がある。しかし今回、インド政府が禁止措置の対象を拡大したことと、中印国境地帯の緊張が(8月末から)再び高まっていることとの関係は定かではない。
(財新記者:劉沛林)
※原文の配信は9月2日
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