中国のネットサービス大手、騰訊(テンセント)の業績が好調だ。同社は8月12日、2020年4~6月期の決算報告を発表。売上高は前年同期比29%増の1148億8300万元(約1兆7665億円)、純利益は同37%増の331億700万元(約5091億円)と、いずれもアナリストの事前予想を上回った。
好業績を牽引するのはオンラインゲームだ。4~6月期はスマートフォン向けゲームの売り上げが前年同期比62%もの伸びを示し、オンラインゲーム事業全体の売り上げを同40.2%増の383億元(約5889億円)に押し上げた。タイトル別では「和平精英(ゲーム・フォー・ピース)」や「王者栄耀(オーナー・オブ・キングス)」などが好調だった。
とはいえ事業全体で見ると、総売上高に占めるオンラインゲームの比率は33%に下がっている。注目されるのは4~6月期の前受収益(訳注:前払式のゲーム課金などが含まれる)が過去最高の950億元(約1兆4607億円)に達したことだ。前受収益の増加は、将来のオンラインゲーム事業の売り上げ拡大が確かであることを示唆している。
微信とWechatは「独立したアプリ」と強調
テンセントのメッセンジャーアプリ「微信(ウェイシン)」と「WeChat(ウィーチャット)」の4~6月期の月間平均アクティブユーザー数は、前年同期比6.5%増の12億600万人に達した。そんななか、同社幹部は決算説明会で、中国国内向けの微信と海外向けのWeChatはそれぞれ独立したアプリであるとわざわざ強調した。
その背景はアメリカのドナルド・トランプ大統領が8月6日、アメリカの司法管轄下にある個人や企業がWeChatに関連した取引をテンセントと行うことを禁じる大統領令に署名したことだ。
しかしユーザーの視点で見ると、微信とWeChatはアプリの言語設定が違うくらいで厳密な切り離しが施されておらず、データやコンテンツは相互に共用できる。一方、アメリカの大統領令が禁じた「取引」の範囲は曖昧で、具体的な規定は45日間の猶予期間を経た9月20日以降にアメリカ商務省が定めるとされ、実際のインパクトは未知数だ。
市場関係者の間では大統領令が業績にもたらす影響への懸念が広がっている。テンセントCSO(最高戦略責任者)のジェームズ・ミッチェル氏は決算説明会で、同社の総売上高に占めるアメリカ市場の比率は2%に満たず、影響は軽微だと説明。さらに、大統領令の対象はアメリカ管轄下の地域のWeChat事業のみであり、「アメリカ企業からテンセント(のゲームやメディア)への広告出稿には影響しない」との見解を示した。
(財新記者:銭童)
原文は8月13日配信
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