中国とアメリカの外交関係が悪化するなか、両国間の海上輸送が逆に繁忙を極めている。「この1カ月、アメリカ行きのコンテナ船はほぼすべて満杯の状況だ。新規の発送は早くても3週間待ちで、急ぐ荷主は金に糸目をつけない」。ある北米コンテナ航路の運送代理業者は、8月13日、財新記者の取材に対してそう証言した。
北米コンテナ航路の運賃は過去最高値を更新し続け、昨年の同じ時期の2倍以上に跳ね上がっている。例えば上海発の40フィートコンテナ1本当たりの運賃は、アメリカ西海岸行きが3100ドル(約33万円)、東海岸行きが3500ドル(約37万円)を突破し、過去3カ月の値上がり率は90%近くに達した。
前出の運送代理業者によれば、7月から年末にかけてはもともと北米コンテナ航路の繁忙期であり、アメリカの小売業者の輸入貨物が増加する。さらに今年は海運会社がコンテナのやりくりに苦労しており、港湾での作業効率が低下。輸送力がますます不足して運賃を押し上げているという。
対中追加関税の適用除外終了前の駆け込み需要も
だが、上海航運交易所のアナリストの朱篷舟氏は、北米コンテナ航路の繁忙は一時的な現象だと指摘する。同氏によれば、輸送力不足の主因は海運会社の運航縮小にある。さらに、アメリカ政府が発動した対中追加関税の適用除外の期限切れが近づいているため、多数の荷主が貨物を前倒しで輸入しようとしていることも需給逼迫に拍車をかけている。
海運会社の運航縮小は、言うまでもなく新型コロナウイルスの影響だ。国際物流が世界各地で停滞するなか、海運会社は運賃の値崩れを防ぐために多数の航路の運航を停止し、主力航路でも輸送力を削減した。世界の海運会社が2020年4~6月期に運航停止した輸送力の合計は、コンテナ海運で世界4位のフランス「CMA CGM」の総輸送力に匹敵するとされる。
中国海関総署(税関)のデータによれば、2020年7月の中国の対アメリカ輸出額は前年同月比12.5%増加した。一方、対EU(欧州連合)輸出額は同3.4%減少、対日本は同2%減少しており、対アメリカ輸出の突出が目立っている。
(財新記者:賈天琼)
※原文の配信は8月14日
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