TikTokが半年で動画を約5000万本削除した事情

人気の高まりで暴力などの「違反動画」も急増

TikTokは2019年の全世界の累計ダウンロード数が20億回を突破した(写真:TikTokの英語版ウェブサイトより)

中国系ショート動画アプリのTikTok(ティックトック)は7月9日、昨年末に続いて2回目となる透明性レポートを発表した。それによれば、2019年7月1日から12月31日までの半年間に同社が規約違反と判断して削除した動画は4924万7700本に上った(訳注:TikTokは中国の北京字節跳動科技[バイトダンス]の傘下にあり、中国語版アプリの抖音[ドゥイン]の海外版に位置づけられている)。

ただし、削除されたのは対象期間にアップロードされた全動画の1%に満たない。規約違反の内容は暴力、危険行為、ヘイト、ポルノ、詐欺など。国別で削除数が最多だったのはインドの1645万3400本で、全体の3分の1を占めた。2位はアメリカの457万6900本で、全体の1割弱。3位以降はパキスタン、イギリス、ロシアが続いた。

TikTokは2019年に海外で一大ブームを巻き起こし、全世界の年間累計ダウンロード数が20億回を突破した。なかでもインドとアメリカの伸びが大きく、調査会社のセンサータワーのデータによれば2019年のインドでのダウンロード数は6億1100万回、アメリカでは1億6500万回に達した。

セキュリティーなどの疑念は払拭に至らず

しかし、人気の高まりとともに規約違反も急増している。これに対してTikTokは、ソフトウェアによる自動監視システムで違反動画を素早く削除している。透明性レポートによれば、削除した違反動画の98.2%はユーザーからの通報を受ける前に自動削除した。また、89.4%は投稿者以外のユーザーが誰も視聴しないうちに削除したという。

各国の規制当局からTikTokへの照会も増えている。透明性レポートによれば、2019年下半期に各国の政府機関や地方自治体から受け取った情報提供の要請は500件に上り、上半期の298件から7割近く増加した。当局による動画削除の要請も10カ国から45件が寄せられた。

本記事は「財新」の提供記事です

TikTokは近年、プライバシー保護やセキュリティーの問題を指摘する声がインド、アメリカ、EU(欧州連合)などから相次いで上がっている。これに対処するため、TikTokはコンテンツのチェックを行うチームを大幅に増員するとともに、透明性レポートの定期的な発表を始めた。

だが疑念の払拭には至っていない。インド政府は6月29日、安全保障上の問題を理由にTikTokを含む59本の中国製アプリの使用を禁止した。また、アメリカのマイク・ポンペオ国務長官は7月6日、トランプ政権がTikTokの使用禁止を検討していることを明らかにした。

(財新記者:関聡)
※原文の配信は7月10日

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