中国の電子商取引(EC)関連企業で、アメリカのナスダックに上場している宝尊電子商務(漢字の略称は宝尊電商)が、香港証券取引所への重複上場を計画していることが明らかになった。
同社が9月16日にアメリカ証券取引委員会(SEC)に提出した目論見書によれば、4000万株の新株を発行して最大41億5600万香港ドル(約565億円)を調達する。重複上場で得た資金は顧客ベースの拡大、デジタルマーケティングや物流機能の強化、機動的なM&A(合併・買収)などの用途に充てるという。
宝尊電商のビジネスは大手ブランド企業などのECを支援するサービスに特化しているのが特徴で、いわば中国EC業界の黒子的な存在だ。具体的には技術的ソリューションの提供、オンラインストアの運営代行、デジタルマーケティング、商品の在庫管理や配送代行などを手がけている。ナイキやマイクロソフトなど外資系ブランドの顧客も少なくない。
ライブコマース向けサービスにも参入
2006年の創業当初は阿里巴巴(アリババ)グループのネット通販最大手、淘宝(タオバオ)の加盟店向けサービスから出発したが、現在は同2位の京東集団(JDドットコム)や新興大手の拼多多(ピンドゥオドゥオ)など複数のECプラットフォーム上でサービスを展開。ショート動画アプリTikTok(ティックトック)の中国国内版の抖音(ドゥイン)や、ライバルの快手(クァイショウ)でのライブコマース(生中継のネット動画による実演販売)を支援するサービスにも参入した。
2017年から2019年までの2年間に、宝尊電商の売上高は41億5000万元(約643億円)から72億7800億元(約1128億円)へと1.7倍以上に増え、純利益も2億1000万元(約33億円)から2億8000万元(約43億円)に増加した。ブランド企業の顧客数は2020年6月時点で250社に達する。
なお、宝尊電商は1株当たりの議決権数が異なる2種類の株式を発行している。筆頭株主は発行済み株式の14%を持つアリババだが、議決権の保有比率は8.6%にとどまる。第2位株主のソフトバンクは株式の10.6%、議決権の6.5%を保有する。一方、創業トップの仇文彬氏は持ち株比率が5.5%にすぎないが、議決権ベースでは30.7%を握っている。
(財新記者:原瑞陽)
※原文の配信は9月17日
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