中国に進出している日系企業の半数は、米中貿易摩擦や世界的な保護貿易主義の高まりの中でも中国市場でのビジネスの現状維持を望んでいる。その一方、中国事業の縮小もしくは移転・撤退を検討している日系企業の比率は過去5年間で最低水準を記録した――。
9月16日、在中国の日系企業の団体である中国日本商会が発表した「中国経済と日本企業 2020年白書」の中で、そんな調査結果が明らかになった。この調査は、白書の取りまとめを担当した日本貿易振興機構(ジェトロ)が、2019年8月から9月にかけて8678社の日系企業を対象に実施したアンケートへの回答を整理・分析したものだ。
白書によれば、中国でのビジネス拡大を志向する日系企業は過去数年に比べて若干減少している。新型コロナウイルスの流行などで経営の視界が不透明さを増していることが背景にある。そんな中、日系企業は中国政府が改革をいっそう推し進め、関連制度の整備と実施を強化することで、中国の市場環境の予見性が高まることを望んでいるという。
中国事業を「拡大」との回答は4割強
アンケートでは、中国での今後1~2年の事業展開について「現状維持」と回答した日系企業が最も多く、2018年の前回調査の44.8%から今回は50.6%に増加した。「縮小もしくは移転・撤退」との回答は、前回の6.6%から今回は6.3%とわずかながら減少した。
一方、中国ビジネスを「拡大」するとの回答は前回の48.7%より減少して43.2%となった。白書によれば、調査を開始した1998年以降で「拡大」の回答が最も多かったのは2011年の66.8%、最も低かったのは2015年の38.1%だった。その後、日系企業の投資意欲は安定的に回復していたが、今回再び下降に転じた格好だ。
中国日本商会の会長を務める小川良典氏は、9月16日の白書発表の記者会見で、日系企業の半数以上が中国市場でのビジネスの維持・拡大を望んでいると強調。さらに、2019年にジェトロが実施した別の調査で、生産拠点の移転もしくは撤退を「すでに実施」または「検討中」と回答した日系企業が9.2%にとどまったことを紹介し、「中国ビジネスに対する日系企業の意識に大きな変化は起きていない」との見方を示した。
(財新記者:陸文)
※原文の配信は9月17日
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