ショート動画アプリTikTok(ティックトック)を運営する北京字節跳動科技(バイトダンス)は9月15日、TikTokの中国国内版の「抖音(ドゥイン)」の1日当たりアクティブユーザー数が6億人を超えたと発表した。このことは、中国のネットユーザーのほぼ半数が抖音を毎日利用していることを意味する。
抖音はまた、中国の動画クリエイターが収入を得るための魅力的な手段に成長しつつある。バイトダンスCEO(最高経営責任者)の張楠氏によれば、過去1年間に約2200万人のクリエイターが抖音を通じて総額417億元(約6505億円)以上を稼ぎ出したという。同社はクリエイターの支援に力を傾けており、張氏は次の1年間で「クリエイターの総収入を800億元(約1兆2480億円)に増やす」という目標を掲げた。
バイトダンスの過去の発表によれば、抖音の1日当たりアクティブユーザー数は2020年1月に4億人を突破。その1年前の2019年1月の時点では2億5000万人だった。ユーザー数の急増とともに、抖音が生み出すトラフィックは大幅に拡大している。その背景には、バイトダンスがライブストリーミング、ユーザー間の交流、電子商取引(EC)、検索などの機能を次々に抖音に実装し、サービスを不断に改善・充実させてきたことがある。
ライブコマースでライバルの快手を追撃
そんななか、マネタイズの観点でカギとなるECに関して、バイトダンスが抖音独自のエコシステムの構築に踏み切ったことは注目に値する。
同社は8月初め、外部のECプラットフォームが抖音を利用して商品を販売する場合、20%の手数料を徴収すると発表。その一方、抖音独自のECプラットフォームの加盟店は手数料を5%に抑えた。続いて8月下旬には、外部のECプラットフォームによる抖音を通じたライブコマース(生中継のネット動画による実演販売)を10月9日以降は認めないと宣言した。
ライブコマースの実績に関しては、現時点ではショート動画アプリで抖音のライバルである快手(クワイショウ)が優位に立つ。ユーザーの好みに基づいて動画をレコメンドするアルゴリズムは、抖音ではトラフィックの量を基準に設計され、人気の高いコンテンツほどより多くの視聴が得られる。一方、快手はクリエイターへの公平な対応を強調しており、新人クリエイターにより多くのトラフィックを振り向けている。
言い換えれば、抖音はトラフィックを稼ぐための起点をコンテンツに、快手はクリエイターに置いている。こうした企業戦略の違いから、快手のライブコマースのタレントは長期的かつ忠誠度の高いファンを獲得しやすく、それが商売の実利につながっている。これに対し、アクティブユーザー数では快手に大きく勝る抖音がどう巻き返すか、目が離せない。
(財新記者:薄雪)
※原文の配信は9月16日
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