「中国には2019年時点で半導体設計会社が1780社あったが、そのうちの88.54%は社員数が100人未満の中小企業だった。一方、社員数が1000人を超える大企業はたった1%しかなかった」――。
アメリカの大手ベンチャー・キャピタル、ウォルデン・インターナショナルのパートナーを務める王林氏は、11月19日に北京で開催された半導体業界の国際フォーラムでそう語り、中国の半導体業界には海外の大手企業と互角にわたり合える強いプレーヤーが不足していると指摘した。
同じフォーラムでは、中国の政府系ファンドの投資管理を手がける盛世投資の何新宇・執行董事も、小粒で数ばかり多い中国企業が海外の強豪と競争するのは難しいとの見方を示した。
「今年上半期に中国で誕生した集積回路の関連企業は2万6000社に上った。外国の池は(成長した)カエルが数匹ずついる状態なのに、中国の池はオタマジャクシでいっぱいだ」(何氏)
新卒技術者の年俸が最高1000万円近くに
企業の数が多すぎるため、中国の半導体業界では過当競争が常態化しており、利益率の低下を招いている。前出の王氏によれば、例えば5G(第5世代移動通信)用のRFパワーアンプ(高周波増幅器)のチップ設計という細分化された領域だけでも、中国にはスタートアップ企業が20社以上もある。しかも各社の売上高総利益率は20%を下回っているという。
「RFパワーアンプのようなハイテク半導体を設計して、利益率がこれほど低いのは悲惨な状況だ。われわれ(投資会社)がつぎ込んだ資金は慈善活動に寄付したようなもので、回収できる見込みがない」(王氏)
業界の過当競争はさらに、人材獲得合戦の激化も引き起こしている。有名大学院で専門技術を学んだ新卒の設計エンジニアの年俸は最高で61万元(約967万円)に高騰し、最低でも年俸30万元(約475万円)を約束しなければ人材が集まらないのが実態だ。「この状況がスタートアップ企業の人件費負担を大幅に押し上げている」と、王氏は憂慮する。
(財新記者:劉沛林)
※原文の配信は11月19日
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