アメリカ政府が10月に発表した対中半導体制裁の強化は、これまでとは次元の違う厳しさだ。その衝撃の中身は、中国の目にどう映っているのか。
中国は国家主導で半導体産業の育成に巨額の資金をつぎ込み、生産能力と技術力の両面で急速にキャッチアップしてきた。西側の半導体産業にとって、中国の台頭は脅威であると同時に、製造設備メーカーや材料メーカーにとっては巨大な商機だった。
この構図を根底から覆しかねない新規制の中身は、中国の視点ではどう見えるのか。具体的な影響はどこまで広がるのか。中国『財新週刊』が総力取材した10月17日号のカバーストーリーの抄訳を、前後編の2回に分けてお届けする。
中国ハイテク産業の発展を阻むべく、アメリカ政府は3年近く前から、先端技術の輸出規制や特定の中国企業との取引禁止などさまざまな措置を打ち出してきた。しかし、2022年10月7日にアメリカ商務省の産業安全保障局(BIS)が発表した輸出規制強化は、これまでとは次元の違う厳しさだ。
BISの新規制は、説明資料の分量が139ページに上る膨大なものだ。その特徴は、規制範囲の大幅な拡大とともに、具体的な数値を示して規制の標的を明確に絞り込んだことにある。影響は中国における半導体の製造、設計、半導体製造装置(の調達や生産)などに広く及び、AI(人工知能)やスーパーコンピューター、データセンターなどの関連産業にも深刻な打撃を与える可能性が高い。
「トランプ時代よりはるかに厳しい」
それだけではない。BISは新規制の発表と同時に「エンティティーリスト」(訳注:アメリカの安全保障や外交政策上の利益に反すると判断された企業等を列挙した、事実上の禁輸リスト)の運用を見直し、新たに「未審査リスト」を創設。中国の31の半導体関連企業や研究機関などを指定した。これらの組織が(対象製品の輸出先として適格かどうかを見極める)アメリカ政府の調査の受け入れを拒めば、より厳しいエンティティーリストに移されることになる。
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