有料会員限定

電池資源の「中国排除」が招くのはEV価格の上昇だ 安全保障と経済性のバランスをいかに取るか

✎ 1〜 ✎ 9 ✎ 10 ✎ 11 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

有料会員限定記事の印刷ページの表示は、有料会員登録が必要です。

はこちら

はこちら

縮小

リチウム、コバルト、ニッケルなど、車載電池の材料に用いられる重要鉱物の権益を中国が買いあさっている。電池のサプライチェーンから中国企業を排除することは現実的なのか。

電気自動車に搭載されたバッテリーのイメージ写真
電池のコストが上がれば、EVの価格も高くなる。(写真:chesky / PIXTA)

特集「米中大動乱」の他の記事を読む

今年8月に成立したアメリカのインフレ抑制法(IRA)は、電気自動車(EV)に搭載する電池のサプライチェーンから中国企業を排除する側面を持つ。とりわけハードルが高いとされるのが、電池材料に用いられる重要鉱物の「脱中国」である。

車載用電池に使われる鉱物といえば、リチウム、ニッケル、コバルト、マンガン、黒鉛などがある。中でも重要度が高いのが、リチウムイオン電池に欠かせないリチウムと、安全性を高めるコバルトだ。

リチウムもコバルトも、その埋蔵・生産が中国に偏っているわけではない。リチウムの埋蔵量が多いのは南米やオーストラリアで、中国は4番手。カナダやアメリカにも鉱山はある。

権益を買いあさる中国勢

ただ、急増するEV需要に対しリチウムの供給力は不足気味。供給量を増やそうにも、資源開発には10年単位の時間がかかる。それを見越した中国勢はここ数年、南米やアフリカでリチウム鉱山の権益を買いあさり、鉱山開発も急ピッチで進めている。

次ページ中国依存度の高さが深刻な精錬工程
関連記事
トピックボードAD