もはや修復不可能なレベルにまで達しているアメリカの「分断」。現地で有権者たちの声を聞いた。
「黒人やヒスパニックは怠惰に暮らしている」
ニューヨーク・マンハッタンの摩天楼を向こう岸に望むホーボーケン。アメリカの国民的歌手フランク・シナトラの故郷として知られるこの街の遊歩道で、家族や恋人たちは週末の夕方に思い思いのゆったりとした時間を過ごしていた。
そんな牧歌的な風景とは対照的にアンドリュー(58)は記者とホテルのエントランスで出会った途端、早口で日頃の政治に対する不満をぶちまけ始めた。
「コロナ禍にバイデン政権が振る舞った多額の給付金がもたらした結果を見てほしい。一部の黒人やヒスパニックの人たちは給付金に頼って怠惰に暮らしているだけじゃないか!税金をジャブジャブ使い、大きな政府に進むバイデンは、党の急進左派たちに従う馬鹿野郎だ」
「俺はずっと共和党支持の穏健派で、(1980年代に大統領を務めた)ロナルド・レーガンが生涯で最高の大統領だったと思っている。レーガンは民主党が追求してきた増税路線の政府ではなく、小さな政府を追求し、市民が(経済的に)自立することを促した。1980年代はアメリカ人にとってすばらしい時代だったんだ」
アンドリューはニューヨークで生まれ、ニュージャージー州北部郊外の街で育った。今は金融ITコンサルタントとして事業を営み、古き良きアメリカの保守をなつかしむ一人だ。だからこそ、①ジョー・バイデン大統領が行ってきた大型経済対策には強い反対意見を持っているという。
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