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オバマ元大統領が語る「米国分断」の乗り越え方 「選挙結果は受け入れるべき」と暗にトランプ批判も

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44代アメリカ大統領、バラク・オバマ氏が語った自国への憂慮とこの先向かうべき道とは。

バラク・オバマ(Barack Obama)/アメリカ44代大統領。1961年ハワイ州ホノルル生まれ。1991年ハーバード大学ロースクール修了後、弁護士、シカゴ大学ロースクール講師、イリノイ州上院議員などを経て2007年大統領選挙出馬を表明。2008年大統領選挙で勝利、2009年第44代アメリカ大統領に就任。12年に再選を果たす。在任中には、大規模な医療保険改革(通称オバマケア)を実施した。信仰宗教はプロテスタント(写真:Samuel Mironko)

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アメリカ合衆国初の黒人として第44代大統領(2009~2017年)を務めたバラク・オバマ氏が、9月初旬にボストンで開催された顧客管理プラットフォーム・HubSpot(ハブスポット)の年次イベントに登壇した。
ポピュリズムの台頭、蔓延する陰謀論、人種問題や銃規制、環境問題などに対する意見の対立――。アメリカの社会的な分断が臨界点に達している状況をオバマ氏はどう見ているのか。スピーチは、エリザベス女王の死去に際して過去にiPodを贈った話からあるべき民主主義の形にまで及んだ。約45分間の内容を一部抜粋し、日本のメディアでは独占でお届けする。
注:モデレーターは、ハブスポット会長兼創業者のブライアン・ハリガン氏。一部発言の編集も行った。

SNSの普及が加速させた分断

ブライアン:私が初めてあなたのスピーチを聞いたのは2004年、ここボストンでの民主党全国大会でのことでした。そのときあなたは「保守的なアメリカは存在しない、リベラルなアメリカもない。あるのはアメリカだけだ」と話していましたね。最近のアメリカの現状をどう見ていますか?

オバマ:そうですね、あの頃よりも社会の分断は明らかに深刻になっています。当時私が語ったアメリカ合衆国の姿には「そうあってほしい」という願望も含まれています。(民主党の地盤となる)青い州も(共和党の地盤となる)赤い州も、本来は一般にいわれる以上に共通項があるのです

たとえば青い州で(共和党の地盤で人気な)野球のリトルリーグやアップルパイが好まれたり、赤い州で(民主党が支援する)ゲイの子どもが愛され、余った食べ物を寄付するフードドライブが行われたりすることがあるように、世の中は必ずしも一面的に理解できるわけではありません。

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