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トランプが99%大統領選に出馬するといえる根拠 上智大の前嶋和弘教授に聞くアメリカ政治の今

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中間選挙を前に、再びトランプ旋風が巻き起こるアメリカ。2024年の大統領選はどうなるのか。

バイデン大統領は自分が再び出ると決めるのか、トランプ前大統領はいつ出馬宣言するのか、が注目の的だ。写真は9月にノースカロライナ州で集会を行ったトランプ氏(写真:AP/アフロ)

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11月8日の中間選挙まで残すところ1カ月強となったアメリカ。トランプ前大統領が推薦・支持する候補者が次々と共和党の予備選挙を勝ち抜くなど、再びトランプ旋風が巻き起こっている。
ここにきて民主党の挽回も目立つ中間選挙の行方はどうなるのか。その次に控える2024年大統領選挙の行方はーー。アメリカ政治に詳しい上智大学の前嶋和弘教授に話を聞いた。

現職大統領の政党は圧倒的に不利

ーーアメリカ中間選挙をめぐる戦いはこれから本格化しますが、現在までのところどのような情勢でしょうか。

まず押さえておかなければならないのは、中間選挙には方程式みたいなものがあることだ。それはその時の大統領が属する政党は厳しいということ。アメリカで現在のような共和党と民主党の2大政党制になったのは、日本の江戸時代に当たる1854年。そこから現在まで40回の中間選挙があったが、その中で現職大統領が属する政党が上下両院で勝ったのは、たった2回しかない。

1つは1934年で、大恐慌からやがて第2次世界大戦に至る時代。もう1つが比較的最近の2002年で、アメリカ同時多発テロを受けてテロとの戦いに突入したときだ。いずれも戦時的な体制のときで、この2回以外では現職大統領の政党が上下両院で議席を増やしたことは一度もない。

前嶋和弘(まえしま・かずひろ)/上智大学教授。専門は現代アメリカ政治外交。上智大学外国語学部英語学科卒。ジョージタウン大学大学院政治学部修士課程修了(MA)、メリーランド大学大学院政治学部博士課程修了(Ph.D.)。今年10月18日に新著「キャンセルカルチャー:アメリカ、貶めあう社会」を上梓予定。ほかに「アメリカ政治とメディア」「危機のアメリカ『選挙デモクラシー』」(共著)など著書多数(撮影:田所千代美)

なぜこうなるかといえば、現職大統領の政党の支持者は、現在の政治状況にある程度満足しているため、投票所に足を運ばないことが多いからだ。逆に、現職大統領の側でない政党の支持者は不満が大きく投票率が上がる。したがって、バイデン大統領の民主党は次の中間選挙で結果がよくないということが、予測の土台としてある。

ーー具体的な票読みは可能ですか。

下院は中間選挙で435議席すべてが改選であり、ここを見れば大体の選挙の風向きがわかる。近年の大統領の1期目の中間選挙の下院の状況は、新しいところから順に言うと、トランプ大統領のときにマイナス40議席、オバマ大統領のときはマイナス63議席、ブッシュ(子)大統領時は先述のようにテロとの戦いがあり異質だったが、その前のクリントン大統領のときではマイナス54議席となっている。

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