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アメリカで進む右派と左派のパラレルワールド化 慶応大の渡辺靖教授に聞くトランプ旋風の行方

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2021年の連邦議会襲撃事件を極めつけに、民主党と共和党との現状認識はどんどんかみ合わなくなっている。

右派と左派で、議論がまったくかみ合わないほど社会的な分断は極まっている。写真は2021年1月に起きた米議会襲撃事件でメディアの注目を集めた奇抜な出で立ちのユーチューバー(写真:AP/アフロ)

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アメリカ社会の分断が熾烈化して久しいが、右派・左派の国民が協調へ転じるきっかけはあるのか。逆に、考えうる最悪のシナリオとは――。
アメリカ政治・文化に詳しい慶應義塾大学の渡辺靖教授に話を聞いた。

今のアメリカはまるで「パラレルワールド」

――リベラル系の民主党と保守系の共和党の対立が先鋭化したことで、アメリカ社会の分断が世界の注目を集めて久しいです。どこまでひどくなるのでしょうか。

渡辺靖(わたなべ・やすし)/慶應義塾大学環境情報学部教授。1967年生まれ。専攻は、文化人類学、文化政策論、アメリカ研究。上智大学外国語学部卒業後、1992年ハーバード大学大学院修了、1997年Ph.D.(社会人類学)取得。2004年、『アフター・アメリカ』でサントリー学芸賞を受賞。今年8月に新著『アメリカとは何か 自画像と世界観をめぐる相剋』を上梓(撮影:今井康一)

歴史上、アメリカが完全に1つになったことはない。

ある意味でつねにまとまらず、多様な意見や価値観があることが社会の活力につながり、アメリカという国の強みでもあった。そのこと自体は何も憂慮していない。

しかし、今の状況は深刻だ。私が本格的にアメリカ研究を始めた30年強前から、学界やメディアでは社会の分断が大きなテーマとして取り上げられていたが、その状況はますます悪化している。

極め付けは、2021年1月に起きた前代未聞の連邦議会襲撃事件だ。

民主党支持者は、あの事件を「民主主義への暴挙だ」とネガティブに捉えているが、トランプ前大統領の支持者やそれに近い共和党支持者は逆に「あれこそが表現の自由や市民不服従を意味するのであって、民主主義の証だ」と言っている。

一時が万事で、何についても両者の現状認識はかみ合わない。彼らが見ているアメリカはそれぞれに違って、パラレルワールドになっている。

――SNS(交流サイト)などの影響もありますが、話がかみ合わないという事例は枚挙にいとまがありませんね。

最近でもFBI(米連邦捜査局)によるトランプ氏の家宅捜索があったが、あのとき、「ひどいことが起きた、これでトランプも終わりだ」と言ったのが民主党支持者。共和党支持者の多くは「ひどいことが起きた、これで次期大統領はトランプで決まりだ」と言った。それほど違う。

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