5月30日夜、ロシアのテレビ局「第1チャンネル」(政府系)の番組「グレート・ゲーム」で司会を務めるスースロフ氏(ロシア高等経済大学教授)の口を通して、クレムリン(ロシア大統領府)は重要なシグナルを米国に送った。スースロフ氏は、共同出演者であるドミトリー・サイムズ氏(米シンクタンク「ナショナル・インタレストのためのセンター」所長)に次のように尋ねた。
「ロシア軍と『ルガンスク人民共和国』警察部隊が近く(ルハンスク州の)セベロドネツクを解放する。続いてドネツク州のスラビャンスクを攻撃する。この状況を踏まえて、ウクライナは米国にハイマース(HIMARS、高機動ロケット砲システム)の供与を求めた。
バイデン米大統領は『ロシアを攻撃する兵器は供与しない』と述べたが、米ロの信頼関係はすでに崩れている。ひとたびハイマースをウクライナに供与すれば、ウクライナがそれを恣意的に用いる可能性がある。こうなるとロシアが引いているレッドラインを越えることになる。米国はこの点についてどう考えているのか」
米国の「あいまい戦略」
ソ連時代に亡命し米国籍を取得したサイムズ氏は、米ホワイトハウスにも人脈がある。モスクワ国立大学歴史学部を卒業しており、知識人が用いるロシア語を完璧に操ることができる。同氏は次のように答えた。
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